バルブ及びリテーナ−、その2

 リテーナ−の中心部の一部には、矢印で示すような特異な傷も見られた。



 こんなリテーナ−と摩耗したバルブコッタ、そしてバルブの3つをを組み合わせてみたところ、コッタの組み付け角度によってはちゃんと機能することがわかった(リテーナ−にバルブを差し込んだとき、バルブが固定されるということ)。従って、何らかの原因(後述)でバルブコッタの摩耗が相当進んだ後に、リテーナ−がはずれてばらばらになり、ばらばらになった部品のいずれかがカムカバーの壁にあたって割ったと推測される。



 バルブコッタが付いた状態でリテーナ−を裏側からみると、バルブにできていた異常な凹みがリテーナ−の底部とほぼ一致する位置にできていることがわかった。恐らく、バルブコッタが摩耗することでリテーナ−に通常外の横揺れが起こり、バルブと干渉して凹みを作ったと思われる。



 リテーナ−がはずれてばらばらになるということは、バルブが燃焼室内に落ちることを意味する。ピストンをみると、バルブが当たったような傷がついていた。



 なおバルブ本体には、ピストンと当たったような傷は見られなかった。バルブの方が相当固いのだろう。



 以上、故障箇所を見てきた。次頁では、それらを踏まえた上で故障原因を推察していく。