ピストン

 ピストンをはずして観察した。




 ピストンの頭にはそんなにたくさんカーボンは付いていない。ピストンの直径は1番が64.93mm、2番と3番が64.92mmであり、基準値である64.965〜64.985mmを下回っていた。が、ピストン隙間は0.04mmであり、基準値である0.025〜0.045mmの間には入っていた。この結果から、20万キロ走行で、ピストンは基準値を下回るほど摩耗することが分かった。当たり前の話だが、鉄製のシリンダーライナーよりも、アルミ製のピストンの方が摩耗しやすいということである。ただし圧縮には異常がなかったことから、基準値以下でも実用上問題ないのではと思われる。




 ピストンのスカート部。矢印の部分は負荷がかかった状態でシリンダーに接触する面なのだが、普通通りの当たり方をしていた。




 このピストン、いろいろ見ていくと裏側に問題が発生していた。下の写真を比較して欲しい。ピストン裏のスラッジの付き方が違う。



 実はスラッジが付いている方が排気側なのだ。前々回、シリンダーヘッドのスラッジの付き方を観察した際、吸気側より排気側にスラッジがたくさん付いていたが、その結果と符合している。

 またオイルが吹き出る穴が2段にあることがわかるが、排気側のピストンは矢印の穴がスラッジでふさがっていることがわかる。この穴は、オイルリングにオイルを送るための穴なのだ。それが詰まっていたとは・・・
 更に悪いことに、オイルリングはほとんど固着状態にあった。ピストンについているオイルリングを回転させようとしても、回らないのだ。ちなみにトップリングとセカンドリングは固着していなかった。




 このオイル潤滑の悪さが、ピストン摩耗の原因の1つなのかもしれない。結果的にはエンジンに深刻なダメージを与えていなかったが、こうなることを避けるためにもエンジンは早めにオーバーホールしよう。