ヘッド及びカムシャフト

 カムカバーをはずしてヘッドを上から見てみた。プラグの周辺が黒くなって汚れているが、これはオイル交換時にこぼれたオイルである。エンジンオイル自体は黒っぽくなっているが、スラッジの付着や目立ったオイル焼けはなく、非常にきれいなヘッドだということがわかる。このエンジンは5000km毎にオイルを交換していた。過去、スラッジだらけのF6Aを分解したことがあるが、そういうエンジンはいったいどのくらいオイル交換をしていなかったのだろうか。
 またオイル漏れ防止剤を添加していたとのことだったが、それによる影響つまりカムカバーとシリンダーヘッドに生じるわずかな隙間へ、オイル固形分のようなものが付着しているような状態は見られなかった。




 ところが、よく見ると問題が発生していた。矢印で示す、1番シリンダー排気側のロッカーアームのクランプ(AZ28-12-140、なぜかマツダ名称はタペットアジャストスクリュー)が折れていたのだ。こんな状態は初めて見た。が、ここが折れても(仮についていなくても)エンジンが動く上では何ら支障はない。というのもこのクランプは、エンジンの組立スピードをあげるためにロッカーアーム2つを1つにまとめているだけの部品だからだ。しかし、異常な破壊の仕方であることには間違いない。いったい何が起きたのだろう?? やはりF6Aは10万キロあたりになると怪しげな動きを示す。




 ロッカーアームのスリッパ部を拡大したところ。筋が見えるがこれはカムと当たることによって出来るものである。また手で触った限りでは段差はみられなかった。




 カムカバーを裏側から見たところ。スラッジもオイル焼けもなく非常にきれいである。




 カム山も問題ない。




 カム山の反対側。荒れているように見えるが、これは最初からそうなっているため問題はない。




 カムのジャーナル部、及びカム山を測定した結果、何れもほぼ基準値を満足していた。


 1番がタイミングベルト側。

カムシャフトのジャーナル1-11-22-12-23-13-24-14-2
基準値(IN、EX共通)35.725〜35.75035.725〜35.75035.925〜35.95035.925〜35.95036.125〜36.15036.125〜36.15036.325〜36.35036.325〜36.350
IN側実測値35.7235.7435.9235.9436.1336.1836.3136.34
EX側実測値35.7335.7335.9235.9336.1436.1536.3236.33
それぞれの使用限度は基準値の最小値より0.05mm少ない。例えば1-1なら35.675となる。



【参考】16万5千キロ走行のエンジンの計測値

カムシャフトのジャーナル1-11-22-12-23-13-24-14-2
基準値(IN、EX共通)35.725〜35.75035.725〜35.75035.925〜35.95035.925〜35.95036.125〜36.15036.125〜36.15036.325〜36.35036.325〜36.350
IN側実測値35.7535.7635.9335.9336.1436.1436.3336.32
EX側実測値35.7535.7535.9335.9336.1436.1436.3336.33
それぞれの使用限度は基準値の最小値より0.05mm少ない。例えば1-1なら35.675となる。




カムの高さ1-11-22-12-23-13-2
IN側基準値30.15130.15130.15130.15130.15130.151
IN側実測値30.1330.1330.1330.1330.1330.13
EX側基準値30.16730.16730.16730.16730.16730.167
EX側実測値30.1530.1530.1530.1530.1530.15

使用限度はINが30.050、EXが30.060。



【参考】16万5千キロ走行のエンジンの計測値

カムの高さ1-11-22-12-23-13-2
IN側基準値30.15130.15130.15130.15130.15130.151
IN側実測値30.1530.1530.1530.1530.1530.15
EX側基準値30.16730.16730.16730.16730.16730.167
EX側実測値30.1030.1130.1230.1230.1230.12

使用限度はINが30.050、EXが30.060。



 以上、ロッカーアームのクランプを除いて、特段の問題は見られなかった。もともと16万5千キロを経過しても問題の発生する部分ではないため、8万キロは余裕だろう。