立場の違いにより生じる無理解

 私はインターネットに移行する前は、パソコン通信をやっていた。1200bpsが速いくらいの時代であった。「漢字ROM」の無い機種のために漢字を使うことは好まれず、半角カナが結構幅を利かせていた。
 もちろんその当時はHPは無かったが、それに相当するものとして、SIG(PC-VAN)やフォーラム(Nifty serve)があった。そこを取り仕切るSYSOPはもう雲の上の人みたいな感じで、なんとSYSOPになるには、例えばPC-VANならば本社まで出向いて面接を受けて正式決定されたほどである。誰でもHPを開設できる現在とは大違いだった。
 全てではないのだが、SYSOPの中には他と軋轢を生む人がそこそこいた。一介のメンバーであった私には「なんでそんなに揉ますかなあ、うまくやればいいのに」と思っていたのだが、時が経ちwebmasterへと立場が変わって初めて分かった。彼らのやったことは妥当であったと。
 つまり、テストが出来ない状況で能力の低い人を淘汰するには、彼らがいうところの痛いことを書くしかなかったのだ。そうすれば自然に出ていってくれる。多くの場合、能力の低い人は、痛いことに関する許容レベルが低い。簡単に言うと根性がないし継続性もない。向上心もない。すぐに感情的になる。いいやり方とも思えないが、全体の成長のためにはやむを得ない。そもそも、軋轢を避けるために彼らのご機嫌をとって、挙げ句の果てに全体のレベルが低下するなどばかげているし、こっちも疲れるだけである。だから気を使うのは大分前にやめた。逆に会社のようにメンバーにある程度の能力が保証され、私自身で人選できるのであれば、彼らの力をいかに引き伸ばすかを考えるし、私もそうしているつもりだが。

 というわけで、成長と進歩を目指すHP運用では会社とは全然違うやり方をせざるをえない。成長のためには個々人のスキルと努力、自主性に負うところが大きい。ここに立場の違いによる無理解が生じている。当HPでもスキルの低い人が引き起こす問題(彼らから見ると、当然私が悪いように見える)は過去に何度も経験している。幸いなことに近年淘汰されているのだが、最近気になる現象がある。それは掲示板に「通りすがり」の人のカキコが目立つことだ。本当に通りすがりの人なら全然問題ないのだが、長期間ROMしていて「通りすがり」の名前で書き込んでいるようにも見える人がいる。内容的にはスキルのある人と見受けられる。そういう人は当HPとしては歓迎である。まっとうなハンドルネームでカキコして欲しい。一方で感情的問題があり「通りすがり」を名乗るのであれば、その壁を乗り越えて欲しい。ここで述べている通り、こちらは淘汰のために故意にやっているだけの話である。その壁を乗り越えれば、成長・進歩の道が開ける。