一般的に存在する社会のシステムとHPのシステムの違いにより生じる無理解

 「あなたはどうしてここでOFF会をするのか」という問いに対し「ここに空気が存在するから」と答える人はいない。実は一般的に存在する社会のシステムとHPのシステムには非常に当たり前すぎて気が付かない違いがある。それは一般的に存在する社会のシステムに加わる際にはテスト(試験)があり能力別・スキル別に振り分けられるが、HPのシステムに加わるにはテストが存在しないということである。これはHPに限らず組織を運営する側、人を使う側としては本当に困った問題であり、無理解の根本的な壁を作ってしまう。
 実はHPと同じような無試験で人が寄り集まるシステムが地球上に存在する。それが国家。様々な価値観や考え方、能力・スキルの違いを持った人が否応なしに集まっている。日本の政治をみれば分かるとおり、何をやるにしてもなかなか決まらない。さまざまな違いが個人的な利害関係やドロドロの人間関係を生み、無理解の壁を生じさせるためである。が、こんな状況でも国が成長できているのは、能力別・スキル別に振り分けてうまく人材を活用し適切な課題解決手法をもって利益と税金を生み出す企業及びその人材を輩出する教育システムが存在するからこそである。
 国家でピンとこない人には身近な例を挙げてみよう。それは公立の小中学校。ご存知の通り、殺人事件を始め問題ばかりおきており、一向に改善の傾向が見られない。これは様々な能力・考え方をもった人が無試験で入ってくることが1つの要因である。先生の間で考えが違うのは当たり前、生徒個々人で違うのも当然、父親母親で考え方が違うのも珍しくない。何かやれば教育委員会とPTAから全然違うことを言ってくる。能力別クラス編成をしようとしたら「差別だ」と言われる。現場の先生方からは「いったいどうしろと言うのだ!」と言う声が聞こえてきそうで、同じような無試験システムを運用している私からすると「ご愁傷様です」と同情申し上げるしかない。唯一救いがあるとすれば、卒業してしまえば人間関係が簡単に精算できる便利なシステムになっている点だ。
 結局は個々人の能力・スキルに応じたシステムが存在し、適切なマネジメントできてこそ成長できるのだ。成長している企業には、個人的な利害関係やドロドロの人間関係なんて表だって見られない。会社成長という目的達成の方が個人的な利害関係を上回るためであり、個々人がそのことを理解しているからだ。それ以前に入社試験時にそんな傾向の見受けられる人はふるい落とされているだろう。給料という金銭面で拘束し、いやがる人を強制して仕事させ企業が成長することもやろうと思えば出来る。逆に能力ややる気を引き出すために、誉めておだてたり飴を与えたりもする。このような状況の中でもドロドロの人間関係が発生する可能性は完全には否定できないので人間関係にも配慮する。以上はメンバーにスキルがあると分かっているからこそできる芸当であり、私は会社ではこういうやり方をしているつもりだ。
 しかしHPには入社試験はないは、金銭面で人を縛ることは出来ないはでは成長できるための適切な構造になっていない。飴を与えればスキルの低い人は堕落する一方であり、スキルの高い人もそれにつられて堕落してしまう者もいる。すぐに感情的になる人もいれば、そうでない人もいる。こう考えると、一般社会で普通に行っていることをそのままHPの運用に適応し、成長・進歩させることは難しいことがわかる。従って私はHPの運用に対して会社でやっているやり方とは全く別のやり方を取らざるをえない。会社とHPの違いが分かってない人からみたら、とうてい理解できないやり方に見えるだろう。ここに無理解の根本的な壁を作ってしまうのだ。

 ではどうしているのか。当HPでは、スキルの高い人・意欲のある人にターゲットを絞っている。残念ながら、私の力量ではスキルの低い人と共存したHP運営ができない。無理に共存させると、スキルの高い人とそうでない人の間に無理解の壁が高まり軋轢が生じるためである。軋轢は感情的な対立を生み、成長の妨げとなる。なおここではスキルの低い人は感情的であると一律に規定している。スキルがない=合理的判断が出来ない=感情で判断するという図式である。いろいろ見てきたが、確かにその傾向は強い。なおここで言うスキルとは、前頁で述べた第4段階・第5段階を目指すためのツール、即ち現状と理想を明確化した上で課題を抽出し、解決のための実行をはかることのできる能力のことである。
 逆に他のHPや自動車のクラブでは、スキルの低い人との軋轢を避けるため「誰でも出来ること」に手を出し成長できないでいるのではないだろうか。欲求の第一段階を満たすだけのお食事会がその典型だろう。そこまでレベルを落とさざるを得ないのが、残念ながらおおかたの自動車趣味の現状である。


 ではどうやって能力別に振り分けるのか。テストを行い合格した人にパスワードを与え、HPにアクセス出来るようにすればいいのだろうか。そんなことは現実的ではないし、可能だとしてもあまりに閉鎖的なやりかたである。ではどうやったのか、それについては次頁の立場の違いにより生じる無理解で述べたい。