クランクシャフトメタルのEPMA観察

 えぐれた部分をEPMAにより観察した。前回も述べたがEPMAとはElectron Probe Micro Analyzerの略であり、映し出される物質の拡大象のどの部分にどんな元素がどのくらい存在するかを調べることのできる装置である。




 えぐれた部分をさらに拡大してみた。今回使ったEPMAでは、この程度に倍率を上げないと元素分析ができないのだ。




 検出されたのは鉄とアルミ。下の写真は鉄の分布状態を示したものであり、白い点々が鉄を示す。えぐれた部分と丁度かさなっており、下地の鉄が見えていることがわかる。




 次はアルミの元素分布。上の写真で鉄が検出された部分以外に分布が広がっていることが分かる。写真の上下部分に白い点々が少ないが、これはこの装置の特性によるものであり、実際は均一にアルミが検出される。またこのことからクランクシャフトメタルにはアルミがコートされていることがわかる(コンロッドメタルは鉛がコートされていた)。




上記写真の視野における組成分析結果
アルミケイ素スズその他
62.6%13.5%13.4%6.8%3.7%



 前回コンロッドメタルにアルミが付着(というか、めりこんでいた)ことを述べたが、アルミの由来はクランクシャフトメタルである可能性が高い。また前頁の最後にぶつぶつになった写真があったが、これを組成分析したところ全てアルミであった。
 以上の結果より、クランクシャフトメタルがいかれるとアルミがえぐれて地金が出てくること、えぐり取られたアルミはクランクシャフトメタル及びコンロッドメタルの正常部に付着することがわかった。もちろん、メタルがえぐれるとクランクシャフトに傷をつけだめにするので気を付けよう。