クランクシャフトオイルシールのSEM観察、その2





 まず山の部分を拡大してみた。山自体は残っているが、表面に細孔が開いて荒れた状態になっていることが分かる。しかし、傷などはない。均等に摩耗しているということだろう。また、前頁の写真で谷の部分が荒れていなかったことから、クランクシャフトと接触すべき部分は接触し、接触していけない部分は接触していないこともわかる。16万5千キロ走っても、設計通りに機能しているのだ。




 次に3の部分をみてみた。ここはクランクシャフトと直接接触するところで、目視でも摩耗していると考えられた部分だ。



 低倍率で写すと上の写真のようになっていた。細孔がみえる。若干荒れ気味なんだろうか。




 さらに拡大すると表面が荒れていることが分かる。これは摩耗によるものと推定されるが、致命的な傷などは見あたらないこと、1の部分にちゃんと山が残っていることから、シール機能は十分維持できているものと考えられる。


 4の部分をみてみた。ここもクランクシャフトと直接接触するところである。写真の上側が外気と接触する部分、下側は溝になっておりクランクシャフトとは直接接触しない部分である。



 2つの部分を見てみると、やはり表面が荒れて摩耗はしているものの、傷や欠損はみあたらないことがわかる。


 さらに荒れた部分を拡大してみると、3の部分とよく似た状態であった。摩耗状態は外側と内側でほぼ同じなのだろう。




 以上の結果、16万5千キロ走ったこのエンジンではオイルシールに大きな問題は見られないことがわかった。それどころか、まだまだ十分もちそうな感じである。なおこのオイルシールだが、現在は黒でなくオレンジ色のような茶色のような色をしたものに変わっている。価格も350円だったものが700円と2倍になった。価格が上がったのだから、耐久性もそれなりにあがっていると考えたい。そうだとすると、ますますトラブル発生の可能性は少なくなる。