トヨタ・ホンダの部品再販に対するスタンス

 正直な感想を言うと、売り文句は攻めているのだが、実体は両者とも相当腰が引けていると感じた。いろいろヒアリングした結果、以下の点で両者は共通していた。

1.サプライヤさんに負荷をかけたくない。
2.そのため一度に作りだめする。都度生産はしない。
3.フロントガラスは作る予定がない。
4.車を動かすための部品は作っても、内装部品は作る予定がない。


 40ランクルのフロントガラスなんて、単なる合わせガラスの平板をカットすれば作ることが可能だ。にもかかわらず、「保管場所に問題があって・・・」、「在庫が・・・」ということで作る予定がないそうだ。フロントガラスの再販って、そんなに難しいこととは知らなかった。そうだと知ると、AZ−1の純正フロントガラス50枚限定の再生産って、奇跡と言っていいことだったんだと初めて理解できた。50枚なんてケチなこと言わずに、500枚ぐらい作ってくれればいいのにと思っていたのだが、これは不可能だったのだ。
 内装部品も再販していない。このあたりのスタンスはマツダと大きく異なる。マツダの場合は3Dプリンタを使って内装部品を再販しているが、トヨタに言わせるとそれは最後の手段なのだそうだ。

 再販部品のリクエストはミーティングでアンケートをとった結果だそうだ。が、アンケートの取り方が不適切だったのではないかと思われる。もし「再販するとすれば、何の部品が欲しいですか」という問いかけであれば不適切である。というのも「無いより有る方がいいに決まっている」ので好き勝手なことをみんな言い出し、本当に欲しい部品に光が当てられにくくなるためだ。その決定的証拠といえるものがビートの再販部品だろう。ヤフオクで大量に安く売られている(=ニーズがない)のに、再販部品の種類が多い。さぞや在庫処分に困っていることだろう。

 ではどんなアンケートならよかったのか。それは「何が必要か、なぜ必要なのか、再生産できるやり方はこんなものがある、エビデンスもある、だから再生産・再販して欲しい」というシナリオが描けるアンケートである。シナリオが描ければ無駄な在庫を抱える必要が無くなり、自動車会社としてはリスクが抑えられるため、再販しやすくなる。
 例えば、
・フロントの内板(鉄板)が必要
・なぜならぶつけたときに修理できないから
・3Dデータがないから再生産しにくいのだと思われるが、各種内板部品のバラをもっているので、これを原型として3Dスキャンできる状態にある。
・エビデンスはこれ。各種内板部品のバラ
・日産と同じ方法で鉄板を成型して欲しい。あれは特殊な技術ではないと聞く。
・だからマツダでも作れるはずなので、再生産して欲しい
 みたいな感じである。


 私案ではあるが、これを30周年でやってみようかなあ。本当に再販してくれるかどうかは全くわからないが、まともなシナリオを届けなければ動く相手も動かすことができない。
 また募集要項に厳しい条件(自分がそう判断するのならそれでいい自己申告制)を付けているが、そんなやる気のある・能力のある人達が集まるミーティングだからこそ、適切なシナリオを描ける人の割合が高くなるはずだ。その結果、よりよい内容のミーティングとなる。
 一方、「最後のドライブの思い出に・・・」みたいな人が集まれば、車をすぐに売り払うつもりで来ているいるのだから、有益な情報発信をする気のない人の集まりとなり、参加者同士で価値ある情報を提供しても車に反映されることはなく売り払われてしまう。結果、「みんなの笑顔に会える」みたいな意味のない(車のためにならない)ミーティングに成り下がってしまう。だから「30周年ミーティングでは対象外」としている。加えて言うなら、こんな場で取った欲しい部品のアンケート結果をベースにトヨタやホンダでの再販部品を設定したとも言え、本当に必要な部品からどんどんずれてしまったのではないか(というか、絶対にそう)。


 トヨタやホンダの腰が引けているのなら・部品再販の仕方の進め方がまずいのなら、我々AZ−1オーナーが規範となって動き、よい先例となっていこう。