レストア中のルーチェロータリークーペ、その2

 キャビンを見てみる。仮のステアリング以外、何も付いていない。



 リアもからっぽ。レストアと言えばレストアだが、不自然なほど綺麗に塗装し直されている点が気にかかる。外から見える部分は綺麗にしないと見た目がおかしい場合もあるが、完璧に綺麗にしてしまうと、その車がになってきた歴史を根本から捨てるようなものだからだ。完璧を期すか、それとも適度にやれた感じを出した方がふさわしいのか常に議論が分かれるところだが、車の歴史を残すという点を考えると、レストア前のコンディションをあえて残しておくことも必要と考える。



 衝突(側突)規制の関係で、ほぼ絶滅しているハードトップ(Bピラーレスの屋根付きの車)。



 ハードトップ車の断面。剛性を保つため、当時のセダンやクーペと比較すると幅が広い?



 変わって下回りをみていく。特徴的なのがフロントサス。矢印部分はアブソーバーである。リーフスプリングでもない限り、通常の場合はアブソーバーの周りにコイルがあるが、この車にはない。



 となると、バネはトーションバーになる。が、さらに特殊なのは、トーションバーが金属ではなくゴムだということ。下の写真の矢印部分がトーションバーである。レストアで新品にしたのかと思いきや、無交換とのこと。



 リアサスはトレーリングアーム。まだスタビがついていない。



 それにしても、当時の車は「ゴムが切れたらどうなるんだ!?」的なものが多かった。例えば等速ジョイントの代用品(切れたら車が動かなくなる)、トレーリングアームの付け根(切れたらアームが外れる)等々。ちょっと信じられない。


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