研究事例としてのロードスター10周年ミーティング

 ここではロードスター10周年ミーティングを研究事例として取り上げ、今後他の車でも同様のミーティングを開催する場合の参考となるようまとめてみたい。「楽しい思いで」を作るだけでなく、今後に反映できるように見習うべき点・反省点をまとめ、誰でも見られるような形にして残しておかないと進歩しない。
 ここでは

 1.パンフの内容
 2.宣伝方法
 3.ミーティングでの出し物の内容と陳列方法
 4.ミーティングの内容

について考えていく。

 本来ならば、このミーティング自体がどのように計画されてきたか、計画時点の課題とその解決策・方向性は正しかったのか、というような総論から検証を始め、今後の参考となるようにまとめるべきであるが、私はこの10周年ミーティングの計画に参画していなかったため、これについてはかける立場にはない。そこで、いきなりではあるが「パンフの内容」という各論から入っていきたい。


パンフの内容
 ここで検証するのは、チケットと一緒に同封されてきた方のパンフレットである(表紙に赤と青のロードスターが写っている方)。
 パンフレットに書かれている内容には、
 1.当日のプログラム、タイムスケジュールとその簡単な説明
 2.注意事項
 3.会場までのアクセス
 4.会場内のアクセス
が書かれていた。まあ順当なところだろう。

 まず1の当日のプログラム等に関することだが、時系列的に並べられており、特に参考となるべき部分はない。まあ誰が作っても同じようなものになるだろう。
 次に2の注意事項であるが、これも「チケットが無いと一切入場できない」とか「ホイールスピンはするな」、「ゴミを投げ捨てるな」というごく当たり前のことが書いてあった。が、参考にすべきはその書き方である。先ほど私は「ゴミは捨てるな」等と命令口調で書いたのだが、パンフに書かれていたのはそのようなニュアンスのものではなかった。なんと表現したらいいのだろうか、各人の良心に訴えるような書き方をしていた。
 一部抜粋させてもらうと「もし事故があれば、自分だけでなく周りのロードスター仲間にも迷惑がかかること、そして大きな事故があれば、イベント自体が中止になる可能性もあることを、ぜひ心にとめてください。」、なんてトーンで書かれてあるのだ。他にも多く見られた表現として「すれ違うロードスターと手を振ってあいさつを」なんて書かれていた部分もあった。これは「互いにルールにはずれたことをしていないかを監視しあうという行為」を非常に柔らかく書きなおしたものである。言い方を変えると「いらっしゃいませ」と客に頻繁に声をかけていかにも接客態度がいいように見せつつも、その実「こっちは万引きしないよう監視してるんだぞ」と暗に臭わせるソフマップ方式に似たやり方と言えよう。命令口調で書かれるといやなものだが、これだと悪い気はしない。大いに参考になる書き方だ。
 3の会場までのアクセスだが、これにも参考となる部分があった。一番感心した点は、高速道路の降り口に「待機場」を作っていたことである。これは何台か連なってやってきた場合どうしても遅れる車が出てくるのだが、この待機場はそういった車を待つ場所である。もしこれがないと、インターチェンジの出口付近が車であふれていただろう。
 最後に4の会場内のアクセス。ここには未然のトラブルを防ぐ記述があった。その1例が、会場内での駐車方法である。ロードスターは外周路に駐車することになっていたが、万一外周路があふれた場合は、他車の駐車場である直進路に並べると書いてあった。問題はここからである。その次の行に「パレードには参加できますのでご安心を」と一言書いてあったのだ。この一言はかなり大きい。当日は外周路からあふれるということはなかったものの、万一外周路からあふれた場合は大混乱になっていたことが予測される。またこの記述がなければ「あふれたらどうなる」という無用な問い合わせがあったり、「早いこと会場に着かなければ」ということで朝の早い内に車が集中するなどの交通上の問題も起きていたかも知れない。ちなみにこの一言、パンフレット上ではインデントの設定が明らかにおかしくなっていた。ひょっとすると急遽加えた言葉なのかも知れない。

 というわけで、総評すると内容的に非常によくできたパンフレットであり、その完成度の高さ故に、他のイベントの雛形として使えるだろう。10周年事務局におかれては是非とも一般に公開して、積極的に皆に還元してもらいたいと思う。