段付き摩耗が発生した原因の推定

 まず、キーの構造を見てみよう。下の写真は、キーを3面から撮影したもの。この中で最もポイントとなるのは中央の写真だ。両端に出っ張りがある。



 シンクロナイザーハブとキーが組まれている写真をもう一度見てみる。キーにある両端の出っ張りが見える。このことを覚えておいて欲しい。



 段付き摩耗の部分に寄ったところ。「2段付き摩耗」と呼んでもいいような妙な摩耗の仕方をしている。ということは・・・



 段付き摩耗の部分とキーとをあわせてみる。すると、キーの両端にある出っ張り部分と見事に一致するではないか。



 写真が良くないのだが、つまりこんな感じで、キーがシンクロナイザーリングの溝に乗り上げてしまったようなのである。



 「ではなぜ乗り上げるようなことになったのか」ということになるのだが、その点は解明できていない。今回の部品だけみるとシンクロナイザーリングが悪いように見えるのだが、別の角度から見るとそうとも言い切れない点がある。
 ワークスを例にとると、C系からH系にモデルチェンジした際、ミッションは基本的にAZ−1と同じタイプの物が使われている。AZ−1より後に出たワゴンRでも同様だ。その際、シンクロナイザーリングの部品番号は変更が無かったのだが、シンクロナイザーハブに変更があった。またこのハブ周りに別の部品が追加されるなどされた。
 この事実から、シンクロナイザーハブの方に何らかの問題があり、シンクロナイザーリングの段付き摩耗を発生させたのではないかと推察する。


 ちなみに、頂戴した部品一式を交換したことで、シフトの入りはよくなったそうだ。