モックアップで確認&加工・完成

 展開形状を厚紙に現尺でプリントアウトし、実際のシートに合わせてみる。この時点でオフセット方向や干渉物についても確認して、問題があれば図面を修正する。
 低く設定したヒップポイント部と、3段リクライニング調整できる前部が設計上のキモ。サイドに三角スリットを追加して、少しだけデザインに華を添えてみた。



 加工用に原寸のベクターデータを自家生成し、図面と共にレーザー加工屋さんに持ち込む。ここは大型のレーザーカットマシンやベンダーまで揃えてある試作専門の会社なので、直角曲げを含む最終形状まで一括でお願いできる。比較的厚いステンレス板が、レーザー光線であっという間に切り抜かれていく様は壮観だ。
 こういった発注をする際には、形状・寸法公差・材料・加工法・表面仕上げなど、図面にすべてを謳っておくことが必要。「適当に見栄えよくやっておいてよ」は通用しない。こちらは「趣味」でも、受ける側にとってはお金の発生する「仕事の契約」なのだ。



 SUS304の2B仕上げ材(無塗装の外壁などに用いる一般的な光沢仕上げ材)を使用したため、見た目もそこそこ美しく、図面で指示したバリ取りを丁寧にやってくれたお陰で、手を切る心配もない。ただ、殆ど見えない部品なのでバフ掛けまでは実施しなかった。
 重量については、純正レール+ブラケットで4.6kg。社外メーカーのシートレールが4.8kgだから、若干だが軽く仕上がった。