デンソー完全自己否定、「イリジウムタフ」プラグ

 デンソーのイリジウムプラグには、次の3種類がラインナップされている。前頁で紹介した「イリジウムパワー」、ここで紹介する「イリジウムタフ」、そして一部次頁で紹介する「イリジウムレーシング」である。

 イリジウムパワーについては、デンソーにより「U溝接地電極」の優位性が喧伝されていたが、実体をみると耐摩耗性に劣ることを前頁で紹介した。ではイリジウムタフはどうなのか。
 下記のSVK20RZ(恐らくイリジウムタフと同等)をみる限りでは、電極の耐摩耗性はどうも問題無いように見受けられる。ところがよくよく見ると、喧伝していた「U溝接地電極」が採用されておらず、NGKなど他メーカーのプラグと同じような形状をした接地電極となっている。
 普通の人なら、「U溝接地電極」を採用した上で、さらに耐久性が改善されたものを使っているんだろうなあと想像(連想)してしまうのだが、そうではなかった。逆に言うと、イリジウムタフになって、他社同等レベルの電極の耐摩耗性が確保できたと言えるし、デンソーが自説を完全自己否定しているとも言える。






 SVK20RZは、ダイハツのムーブなどに工場出荷時に搭載されているプラグである。トヨタ系のダイハツがデンソーのプラグを標準搭載するのは当然としても、「U溝接地電極」のプラグを採用していないのはなぜなのだろうか。今までの結果をつなぎ合わせると、ダイハツは「U溝接地電極」に何らかの問題があると認識していたと考えるのが妥当なのではないか? さらに他メーカーの工場出荷状態のプラグのうちデンソー製イリジウムプラグを見ると、私が調べた範囲では「U溝接地電極」のプラグを採用していない(交換用プラグとして「U溝接地電極」プラグが市販されているにもかかわらず)。
 下の動画はSVK20RZに火花を飛ばしたところ。普通の形をした接地電極だからであろう、飛火ミスは生じていない。


動画は写真をクリック


 なおSVK20RZは、イリジウムタフに相当するものかどうかは明確でない。デンソーのHPをみてもラインナップされていないためである。イリジウムタフであると明言しているVK20ならラインナップされている。が、構造的には少なくとも「U溝接地電極」を採用していないイリジウムプラグであることだけは間違いない。



 次頁では、世界の変態プラグを見ていく。