なぜ「イリジウムパワー」に代表されるデンソー製U溝接地電極プラグは飛火ミスを起こしやすいのか、耐摩耗性に劣るのか

 以下、プラグの形状をデフォルメし、デンソー製U溝接地電極プラグに対してかなり悪意的に書いているのでご了承を。


 デンソー製プラグの最大の特徴といえるのが、「U溝接地電極」である。これが悪さをして、飛火ミスや電極摩耗を起こしていると考えられる。
 雷は高い所に落ちる。つまり、「U溝接地電極」の中央に火花が落ちず、周辺部に落ちることになる。実際、スパークプラグテスターでみてみると、そのような火花の落ち方になっている。



 「U溝接地電極」の周辺部に火花が落ちるということは、ハウジング部に近い部分に火花が落ちるということである。従って、ハウジングへの飛火ミスが起きやすい構造になっているといえなくもない。実際、そんな飛火の仕方をしている。



 摩耗もそうだ。「U溝接地電極」は凹形状になっているため、電極自体の体積が少ない。その分、摩耗しやすくなる。



 ただ、1点説明できないのが、電極の片減りである。山の低い側に火花が落ち続けるため片減りするのだが、なぜ高い山にも落ち、均等に摩耗しないのか説明がつかない(たくさん数を見ると、均等に摩耗しているものの方が多い)。ひょっとすると、自己洗浄作用の良い方向にだけ火花が落ち続けるためかもしれない。

 火花の飛び方、プラグの構造、実際の電極摩耗の度合いをみると欠点しかみあたらない「U溝接地電極」なのだが、それでも使い続ける理由は、見かけ上の差別化を図るためであろう。もしくはひょっとすると、「プラグに本来求められる性能≒我々にはほとんど関係ない性能」(後述)に対して有効なのかもしれない。


 と、ここまで書いたのだが・・・デンソーは「U溝接地電極」のメリットを完全に自己否定するようなプラグも販売していた。それがイリジウムタフ(もしくは相当品)。次頁で見ていこう。