オイル中にクーラントが混ざり込んだ原因

 発見した面白いものは何かというと、シリンダーヘッド側にある、シリンダーヘッドボルトが入る穴。錆びが付着している部分と付着していない部分があったのだ。シリンダーヘッドはアルミ製だから、赤錆は発生しない。従って、この錆はクーラントからもたらされたものであると言える。またこの穴にはクーラントは通らないし、通ってはいけない。



 そこにネジ止めされていたボルトを見てみると、案の定サビが発生していた。3本ボルトがあるが、上が「穴にサビが発生していたボルト」、真ん中及び下が「穴にサビが発生していないボルト」である。



 サビの部分を拡大したところ。ヘッドボルトの締め付けトルクが緩かったという事はなかったので、ガスケットが朽ちてクーラントが入り錆びたと考えられる。



 さらにシリンダーブロックにも面白いものを発見してしまった。オイルが通る穴付近に、矢印で示すような赤錆が付着していたのだ(1番のエキマニ側)。



 こちらは赤錆が付いていない部位(3番のエキマニ側)。



 より詳細に見ていくため、シリンダーヘッドを洗浄した結果、またしても面白いものを見つけてしまった。クーラントが通る部分が肉やせしていたのだ。矢印部分がそうである。

1番(肉やせあり) 2番(肉やせあり) 3番(正常)


 オイル中にクーラントが混ざった原因は以下のように考えられる。
 1.オーバーヒートもしくは経年変化により、ガスケットが朽ちた。
 2.オーバーヒートもしくは何らかの原因で、シリンダーブロックに肉やせが生じた。
 3.肉やせした部分から、クーラントがオイルラインへ漏れ出た。

 その証拠が、シリンダーヘッドに付着した赤錆である。


 このシリンダーブロックだが、ガスケットを組み付けるとき、肉やせした部分に液体ガスケットを塗ったら再利用できるかもしれない。