サンダーバードの内装

 デタッチャブルハードトップを外してあったサンダーバードの内装を見ていく。引いて撮影したところ。ベンチシートの2シーターであることがわかる。



 まず目に付くのがエアコン。つり下げ式なのでオプションのようにも思えるが、展示されていた3台ともついていたので、標準装備なのかもしれない。気になる冷媒だが、どうやらR12のようだ。というのも、R12は1955年時点で既に量産されていたからだ。当時の車の作りを考えると、ガスはだだ漏れだったんだろうなあ。1970年代の車でも、数年に一回程度はガスの補充をやっていたので。



 メーター周り。非常に美しい仕上げだ。が、美しくレストアされたがための結果かもしれない。コレクションの車を見るときいつも感じてしまうのが、当時の新車もレストア後の車と同等の見栄えだったか否かということだ。
 昔の絵を修復するキュレーターという人がいる。どんな仕事かを簡単に言うと痛んだ絵の上から再度ペイントして修復するのだ。以下は素人の極論だが、「これって原画の名画の上に、贋作の絵を描いているのではないか??」と常々思ってしまう。こう考えると、綺麗にレストアされた車、とくにボディーがFRPで修復しやすい(オリジナルから変えやすい)車をみると、今見ている車がオリジナルなのかレプリカなのかさえ、わからなくなってしまう。



 パワーウインドウがあるドアトリム。スイッチの位置がちょっと低すぎて操作しづらいように感じる。またインパネからドアトリムへの内装の回り込みの仕方を見ると、昔のマツダの「インテリアイズム」を連想してしまう。非常に綺麗なのだが、ツラが合っていない。上述の話の続きをすると、このツラの合ってなさが当時のオリジナルの姿をとどめている部分なのだろう、と想像しながら味わうのだった。



 あと、デタッチャブルハードトップにある丸窓にシールが貼られていることに気がついた。



 この丸窓のガラス、フォードがライセンスを与えた社外ガラスみたいなのだ。オリジナルではないライセンス生産のガラスさえ貴重である、ということなのだろうか。


 次頁からは、嗜好ががらっと変わって、またもや発売されたミニの新モデル、MINI JOHN COOPER WORKSを見ていく。この車、スタイリングはともかく、作りが悪いのだ。