シリンダーブロック

 シリンダーヘッドをはぐった。



 すると1番のシリンダー壁面に液体が流れて錆びが生じたような痕跡を発見した。



 こちらは正常な壁面(2番)。



 クーラントはオイルラインだけでなく、シリンダーにも入っていたのは間違いない。では何が悪いのか。ガスケットを見てみると、矢印部分の形状がちょっとだけおかしい事がわかる。



 左の写真は異常と判断した箇所。そして右の写真はその裏側。ガスケットが抜けていることがわかる。



 こちらは正常部位。



 以上の結果から、ガスケットが抜けたことが原因でシリンダー内部やオイルラインにクーラントが入ったことが確認できた。ではなぜガスケットが抜けたか。実はシリンダーヘッドを外す際、6本あるシリンダーヘッドボルトのうち、2番のシリンダーの周りにあるヘッドボルト4本が、普通のラチェットレンチで緩むぐらいのトルクしかかかっていなかった。そのため、ガスケットの効きが悪くなり、抜けたと考えられる。
 ではなぜシリンダーヘッドボルトが緩んでしまったのか。それはオーバーヒートと関係があると思われる。オーバーヒートしたエンジンは、シリンダーヘッドボルトが緩んでいることが多いのだ。このエンジンの前の前のオーナーがオーバーヒートさせ、その際シリンダーヘッドボルトにゆるみが生じた。その後、前オーナーの手に渡り、徐々に状況が悪化していって、ついにガスケットが抜けるに至ったと推察される。