童夢のカーボン製インサイト

 人とくるまのテクノロジー展とは、学会に併設された展示会である。自動車技術会は、別の学会と比較すると商業色が強いため、こんな展示会もやっているのだ。なお念のため記しておくと、東京モーターショーの主催者は日本自動車工業会で、自動車技術会とは別組織だ。


 最初に紹介するのは童夢。



 この車、色が黒い。なぜかというと、ボディー(アウターパネルなど)がカーボンでできているからだ。ベース車両はホンダのハイブリッドカーであるインサイト。



 ボンネット、バンパー、フェンダー、ドアなど後から取り外しのきく蓋物がカーボンになっている。白い部分はベース車両と同じ鉄板。



 ホイールも黒いが、これもカーボンである。



 ホイールだけはずされて展示してあった。詳細を見ていこう。



 まずは断面。ほとんどカーボン製。



 ただし、ハブボルトが入る部分はさすがに金属製だった。



 カーボンホイールは、一体物でできているわけではない。複数のカーボンパーツを組み合わせてできている。その証拠に、矢印部分に境目が見える。



 耐久性はどうなんだろう。ほぼ新品のはずなのだが、もうささくれ立っている。



 実際に持ってみることもできた。カーボン製ホイールとなると「羽のように軽い」という過度な期待を抱いてしまうのだが、持った感触は軽めのアルミホイールよりも若干軽い程度だった。ささくれ立っていることも考えると、マグネシウムホイールの方がコスト的にも耐久性も信頼性も勝っているのではないかと感じた。


 今回のカーボン化でどれだけ軽量化されたか書かれていた。驚くべきことに、これだけやってもたった76kgしか軽量化できていない。こういう技術は200kg、300kgと軽量化できて初めて価値が出てくるので、努力の割に報われていないなあと思ってしまった次第だ。