紅旗

 これ、「一汽」(第一汽車)という会社が作っている「紅旗」という車だ。中国では自動車のことを「汽車」と呼ぶ。




 ボンネットに赤い鶏冠(とさか)のようなものが付いている。これ中国の国旗をあしらった飾りである。夜は点灯するのだ。なお天安門広場を行進する際に、中国の首相が乗る車があるのだが、その名を「大紅旗」という。名実共に、紅旗は中国のフラッグシップカーであり中国の威信そのものなのだ。




 エンジンルームを見せてもらった。日本人の常識を越えた構造に度肝を抜かされることになる。




 1.7トンもある巨体。2003年登録となっている。




 エンジンがすごい。というか超変態。これだ、これが私の求めていた車だ。高いカネを払って見に来ただけの価値があるというものだ。
 SOHCなのだが・・・




 デスビがシリンダーブロックから生えていることからOHVベースである。しかもデスビ側に吸排気関係の部品が付いていないから、ターンフロー型のエンジンである。ターンフローのエンジンなんて、日本ではせいぜい1970年代まで活躍していたエンジンである(日産のL型エンジンは特に有名)。30年落ちのエンジンが載っているといっていい。




 これだけでも変態的なのだが、驚くべき事にインジェクションになっていた。あり得ね〜。ターンフローエンジンはキャブ時代のエンジンなので、わざわざインジェクションにする意味がわからん。21世紀にもなってそんなことをするくらいなら、別のエンジンに載せ換えた方がどうみてもいい。ちなみにこのエンジンはGMから買ってきたものを付けているそうだ。




 GMのエンジンがでかすぎて、エンジンの前にラジエターが配置できない。エンジンの横にラジエターがある。アルトやワゴンRもそんな構造になっているが、エンジンのサイズなどを総合的に判断して設計した結果であって、やむを得ずラジエターを移設したのではない。




 こんな訳のわからんことをやっているくせして、いっちょ前にABSなんぞが付いている。




 という具合にかなり変態な車だった。素晴らしい。