アウディー100

 これ、アウディーが中国で販売しているアウディー100である。



 「なんだこれ〜、さっきの紅旗と同じじゃん」と思った方、大正解。実は一汽とワーゲンは昔から合弁会社を作っているため、正規のパクリ車として紅旗が作られているのである。実を言うと一汽には、マツダもトヨタもそれぞれの車を生産委託をしている。一汽は自社ブランドも含めると4つのブランドの車を作っているのだ。現在の紅旗はクラウンをベースとして製造されているのだが、紅旗として製造する契約自体はトヨタと既に切れているらしい(笑)。



 このタイプのアウディー100は80年代に作られていたものだ。先ほど紹介した紅旗は20年落ちのシャシーとボディーを使っていたわけである。
 アウディー100は縦置き5気筒のFFというイメージがあるのだが、中国で売られていたアウディー100は縦置き4気筒のFFだった。矢印部分にドライブシャフトがみえることからFFだということがわかる。




 しかもこれまたOHVベースのターンフローSOHC。80年代のアウディーのエンジンがターンフローとは思えないが、オイルフィルターにはアウディーのマークが入っている。これがアウディーのエンジンとして、いったいいつ頃の物なのだろうか。
 なお紅旗は縦置きのFFかどうか分からなかった(あまりの変態ぶりに深い感銘を受けてしまい、確認するのを忘れた)。



 別のレポートで紹介するが、21世紀に入ってもターンフローエンジンを使っていた中国のフラッグシップカーが、数年間で急速な変化を遂げ、現在普通に見られるV型DOHCが載る車(クラウン)にまで変化していった。日本には「盆と正月がいっぺんにやって来た」という言葉があるが、その時間感覚は恐らく一日のうちにいっぺんにやって来たという意味だろう。が、車のスペックの急速な変化や経済の発展ぶりを見ると、中国の場合は盆と正月が数分の内にやってきたように感じる。個人的には、それを目の前で見ていた中国人が確実に存在しているという点に興味を覚える。日米欧が何十年もかかって培ってきたことが、一般庶民レベルでいうとほぼ鎖国状態にあった国に数年で入ってきたのだ。パソコンもインターネットも携帯も。このような局面に触れた人間は、有史以来で中国人が初めてではないだろうか。黒船が来たどころの変化ではない。そのとき、彼らは何を考え、何を感じたのだろう。