中国人以外が中国で車を運転することは不可能に近い

 まずは中国の交通事情を紹介しよう。とても信じられないものをお見せする。下の写真は宿泊していたホテルから撮影したものだ。この写真、歩行者用信号は赤信号となっている。が、横断歩道上に人がいる。彼らは自殺しようとしているのではない。
 結論から言おう。この国のルールは、早い物勝ちなのだ。少なくとも歩行者にとっては信号機は関係ない。車にとっては直進優先という考えもない。中国は左ハンドルなので左折(日本での右折)で頭さえ出してしまえば直進側が渋滞しようが知ったことではない。




 どこを歩こうが関係なし。




 下の写真に写っている女性に注目して欲しい。もちろん車道側が青信号である。この女性は、横断歩道上で車が過ぎ去るのを待っているのだ。中国ではよく見られる光景である。




 バスが目前に突っ込んできても動じる気配がない。




 和田アキコは指3本でタクシーを止めたという伝説があるが、この女性はバスに触れることなく「気」で止めてしまった。さすが中国4000年の歴史。
 バスが急停止してしまったから、後を走っていたタクシーが急に車線を変更した。後にバイクが走っていることなんかお構いなしである。頭を先に出した者が勝ちなのだ。




 こんな感じだから、信号を守って横断歩道を渡ろうなんて考えている人は少ない。下の写真は、反対側の歩道へ渡るべく、センターライン上で車が通過するのを待っている人達だ。極普通に見られる光景である。こういう人達のためなのか、センターラインの幅が広い。




 一時が万事こんな状態なのだから、先進各国の人間は中国で車を運転することは不可能である。30秒も走れば事故を起こすだろう。外務省が「中規模中進国」と分類するマレーシアでもこんなひどい状況ではなかった。

 アメリカが中国に対して人権がどうのこうのというが、そんなことは後回しでいい。人権の前にまず道徳が必要である。道徳なき者に権利を与えるとろくなことはない。権利の正しい使い方を知らないからだ。この状況で「世界有数の経済大国になった」と大きな顔をされたら、有史以来人類が築き上げた人間の品性・品格をぶち壊すことになる。なんといっても人類の1/8が中華人民共和国の国民なのだ。唯一の救いは治安は悪くない点である。


 次頁からは中国の不動産事情からみる経済の実態から、なぜ中国で自動車が売れるのかを、また背後に潜むそのもろさを考えていきたい。