カムシャフト

 次にカムシャフトをみてみよう。まずカムカバーへのスラッジの付き方をみると、吸気・排気ともに同程度だった。前回紹介した通り、シリンダーヘッドは排気側の方がスラッジの付き方が多かった。仮に排気側に熱がかかってヘッドへのスラッジの付着が多くなったとすると、カムカバーには熱の影響によるスラッジ付着の影響は及びにくいと推察される。




 下の写真は排気側のカムの様子。







 カム山、及びカム山の裏は特に異常なし。



 カムカバー。オイル焼けが発生しているものの、十分正常の範囲だ。




 カムカバーのジャーナル部。矢印の部分の色が異なるが、ここはカムシャフトのオイルラインがあるため直接カムシャフトと接触していない部分である。通常は色が違って見えるだけなのだが、さわったところ段差が確認できた。ここに段差が確認できたエンジンを見たのははじめてだ。




 こちらのジャーナルには矢印部分にキズが付いていた。キズの入ったカムカバーを見るのも初めてである。が、ここはクランクシャフトのメタルとは異なり、鉄とアルミが触れる部分であるため、キズが入っていたとしてもカムシャフトにダメージを与えるものではない可能性が高い。




 今回の各部の計測値を記す。カムのジャーナル部、及びカム山を測定した結果、何れもほぼ基準値を満足していた。


 1番がタイミングベルト側。

カムシャフトのジャーナル1-11-22-12-23-13-24-14-2
基準値(IN、EX共通)35.725〜35.75035.725〜35.75035.925〜35.95035.925〜35.95036.125〜36.15036.125〜36.15036.325〜36.35036.325〜36.350
IN側実測値35.7535.7635.9435.9436.1536.1536.3436.34
EX側実測値35.7435.7535.9435.9636.1436.1536.3436.34
それぞれの使用限度は基準値の最小値より0.05mm少ない。例えば1-1なら35.675となる。



【参考】別の20万キロ走行のエンジンの計測値

カムシャフトのジャーナル1-11-22-12-23-13-24-14-2
基準値(IN、EX共通)35.725〜35.75035.725〜35.75035.925〜35.95035.925〜35.95036.125〜36.15036.125〜36.15036.325〜36.35036.325〜36.350
IN側実測値35.7535.7535.9635.9636.1636.1536.3536.34
EX側実測値35.7535.7535.9535.9436.1536.1536.3436.33
それぞれの使用限度は基準値の最小値より0.05mm少ない。例えば1-1なら35.675となる。



【参考】16万5千キロ走行のエンジンの計測値

カムシャフトのジャーナル1-11-22-12-23-13-24-14-2
基準値(IN、EX共通)35.725〜35.75035.725〜35.75035.925〜35.95035.925〜35.95036.125〜36.15036.125〜36.15036.325〜36.35036.325〜36.350
IN側実測値35.7535.7635.9335.9336.1436.1436.3336.32
EX側実測値35.7535.7535.9335.9336.1436.1436.3336.33
それぞれの使用限度は基準値の最小値より0.05mm少ない。例えば1-1なら35.675となる。


【参考】8万4千キロ走行のエンジンの計測値

カムシャフトのジャーナル1-11-22-12-23-13-24-14-2
基準値(IN、EX共通)35.725〜35.75035.725〜35.75035.925〜35.95035.925〜35.95036.125〜36.15036.125〜36.15036.325〜36.35036.325〜36.350
IN側実測値35.7235.7435.9235.9436.1336.1836.3136.34
EX側実測値35.7335.7335.9235.9336.1436.1536.3236.33
それぞれの使用限度は基準値の最小値より0.05mm少ない。例えば1-1なら35.675となる。




カムの高さ。基準値や使用限度は余裕でクリアしているが、さすがに摩耗気味か。

カムの高さ1-11-22-12-23-13-2
IN側基準値30.15130.15130.15130.15130.15130.151
IN側実測値30.1230.1230.1030.1130.1130.13
EX側基準値30.16730.16730.16730.16730.16730.167
EX側実測値30.1330.1330.1530.1330.1530.15

使用限度はINが30.050、EXが30.060。



【参考】別の20万キロ走行のエンジンの計測値
カムの高さ1-11-22-12-23-13-2
IN側基準値30.15130.15130.15130.15130.15130.151
IN側実測値30.1030.1030.1030.1030.1030.10
EX側基準値30.16730.16730.16730.16730.16730.167
EX側実測値30.1530.1530.1530.1530.1530.15

使用限度はINが30.050、EXが30.060。



【参考】16万5千キロ走行のエンジンの計測値

カムの高さ1-11-22-12-23-13-2
IN側基準値30.15130.15130.15130.15130.15130.151
IN側実測値30.1530.1530.1530.1530.1530.15
EX側基準値30.16730.16730.16730.16730.16730.167
EX側実測値30.1030.1130.1230.1230.1230.12

使用限度はINが30.050、EXが30.060。



【参考】8万4千キロ走行のエンジンの計測値

カムの高さ1-11-22-12-23-13-2
IN側基準値30.15130.15130.15130.15130.15130.151
IN側実測値30.1330.1330.1330.1330.1330.13
EX側基準値30.16730.16730.16730.16730.16730.167
EX側実測値30.1530.1530.1530.1530.1530.15

使用限度はINが30.050、EXが30.060。