コスモAP

 この2台のコスモ、外見上はほとんど変わりない。




 寄ってみても特段変わりがない。




 しかしエンジンルームを開けると違う。こいつはロータリーではないのだ。レシプロである。この手の旧車は高級グレード、すなわちロータリーばかり残って後は廃車となるため、今となっては1グレード低く見られるレシプロ車を見る機会は少ない。






 ロータリーでは影に隠れてみえなかったのに、レシプロになってよく見えるようになった部品がある。それがサーマルリアクター。写真中央に見える、錆びた巨大な箱がそうだ。




 サーマルリアクターとは、排ガス浄化装置のことである。現在の排ガス浄化システムは全て触媒となっているが、排ガス規制が始まった頃はいろいろなシステムがあった。例えばホンダのCVCCもそうだ。当時はまだNOxに関する規制が無いもしくは緩かったので、HCとCOのみ浄化すればよかった(酸化させて水と二酸化炭素にする)ため、酸化に重点をおいたシステムが存在した。サーマルリアクタにしろ、CVCCにしろ酸化を主眼においたシステムだった。当時の触媒も酸化を主眼としたシステムだった。
 ところがNOxも浄化できる三元触媒が発明されると、場所を食うサーマルリアクターは淘汰されてしまった。三元触媒とは、理論空燃比近傍のみでHCとCOを酸化(酸素をひっつける)させ、NOxを還元(酸素を取り除く)可能な触媒である。通常の化学反応なり触媒反応では、酸化もしくは還元のいずれかに偏った反応が起こるのだが、三元触媒は条件に制約があるとはいえ、非常に早い反応速度でもって酸化と還元を同時おこすことができる。これはもう、化学反応における奇蹟的な出来事の1つといっていいと私は考えている。

 当時の車に貼られていた低公害車であることを示すステッカー。現在の車に貼られている★3つとか★4つのステッカーと同じものと考えていただいてかまわない。ただ表現は各社各様で、現在のように統一された物ではなかった。




 ロータリーとレシプロでもう1点大きく異なる部分がある。それはマフラー。ロータリーの方が、フィニッシャーが大きいのだ。

ロータリー レシプロ


 なかなか珍しい車を拝むことが出来た。