低公害ディーゼル

 日本ではハイブリッドとか燃料電池車が低公害車として認知されているが、ヨーロッパはディーゼルが低公害車として認知されている。ディーゼルと聞くと黒煙を出すとか走らないとか悪いイメージが日本では先行するのだが、現在ヨーロッパで売られているディーゼル車は、いろいろな技術を組み合わせることによって日本人の抱くイメージとはかけ離れたものになっている。

 ボッシュのコーナーにあった展示物で説明しよう。
 これは「コモンレール」という噴射装置を使ったディーゼルエンジン。ガソリン車でいうところのインジェクションを使ったエンジンに相当する。コモンレールを使うことで任意のタイミングで燃料を多段噴射できるようになった。それにより排ガス削減とパワーアップを両立できる燃焼が可能となったのだ。なお、ガソリン車のインジェクターをディーゼルエンジンに適用しても、噴射圧力が足らないために動かない。ここに技術の進歩があったわけだ。








 あとこれがディーゼルエンジンの排ガス浄化装置。ガソリン車に比べて非常に複雑である。




 たいていの場合3つの触媒みたいなものがついている。1つは未燃の軽油と一酸化炭素を燃やす酸化触媒、もう1つが窒素酸化物を還元するNOx吸蔵触媒、最後は黒煙を取り除くDPFである。







 こららは排気管につけておけば、ちゃんと動いてくれるというわけではなく、極めて複雑な制御が必要となる。例えば、触媒の前に故意に軽油を添加するなどの制御を行う。下の写真に「HC添加インジェクタ」というのがあるが、これが該当する。




 書くのがいい加減めんどくさいので(笑)、このあたりの複雑な制御の詳細について知りたい人は、お近くの詳しい人に聞いてください(そんなやついないか)。



 ヨーロッパ向けディーゼル車の乗り味だが、正直驚かされた。普通に走る上ではガソリン車とあまり変わらないのだ。エンジンはディーゼルと思えないほど上までよく回るし、ディーゼルっぽいガラガラという音も聞き耳を立てないとわからない。黒煙も出ない。初めて借りて乗ったとき「これ確かディーゼルだよね」と、ボンネットをあけて確認したほどである。
 低公害車という面で見ると、ディーゼルは効率が高いためCO2の発生量が少ない。おまけにハイブリッドよりもコストが安い。ヨーロッパでは昔からディーゼルが多かったため、低公害のディーゼルでも違和感がない。むしろ今までよりよく走る。というわけでヨーロッパではディーゼルを低公害車と考えているわけだ。