プリウス(エンジン部)

 今回、最も注目度が高かった車がこのプリウス。コンパニオンのおねーちゃんがMR−Sの説明をしているときは、回りにそんなにたくさん人がいなかったのだが、プリウスの説明をし始めたとたん、ご覧のとおりである。いやー、凄い人気だ。


矢印の位置にプリウスがいる

 ここでプリウスのハイブリッドシステムについて、ちょっとおさらいをしておこう。まずハイブリッドの意味だが、簡単に言ってしまうと「全く違うものが1つにくっつく」ということである。プリウスの場合はガソリンエンジンとモーターの2つがくっついたのだ。で、それらがくっついてどんないいことがあるかというと、効率が高くなる、即ち燃費が良くなるのだ。
 もう少し具体的に説明しよう。プリウスはスタート時はモーター、走行・加速時はエンジンとモーターで動き、減速時はその運動エネルギーを電気に変換して内部の電池に充電する。つまりモーターでアシストする分ガソリンの消費量が減り、アシストする電力は減速時に回収する。今まで捨てていた運動エネルギーが戻ってくるから効率が高まるのだ。


ハイブリッドエンジン



 これがそのハイブリッドエンジン。車のフロント側から写したものだ。画面左がエンジン。右がミッションとモーター、モーターの上がインバーターとなっている。AZ−1でいうなら、ミッションの上に若干の空間があるが、そこにインバーターが入っている感じになっている。なお画面には変な色をした算盤のようなものがあるが、これは模型説明用のもので実際のエンジンにはついていない。
 次にそのエンジンだが、直4の1500CC、出力はなんとたったの50PS。おそらく燃費最優先の設計もしくはモーターとの切り替え時のトルクショックを少なくするためこのようなパワーになったのだろう。モータは30KWのものを使用しているとのこと。気になる燃費だが、資料によると28km/Lとなっている。この排気量クラスの車の約2倍弱の燃費だ。



 この写真はハイブリッドエンジンを運転席側から写したもの。トヨタ車では珍しい後方排気、つまり運転席側に排気ポートがあるのだ(赤い矢印の部分)。通常FFは車のラジエター側に排気ポートがあり、その分エンジンがキャビン側に寄っている。しかしプリウスの場合はインバーターがかなり大きいため、通常のレイアウトでは助手席側を圧迫し車内空間を狭くしてしまう。その問題を解決するためには、エンジンをさらにフロント側に寄せ、車内空間を少しでも広くするしかない。そのためこの後方排気のレイアウトを採用したものと考えられる。また写真ではよく見えないが、スタビライザーがグニャグニャに曲げられている。ハイブリッドエンジンは、それ自体の開発の難しさに加えてレイアウトの難しさもあることを物語っている。



 これがプリウスのもう1つのエネルギー源、ニッケル水素電池の塊だ。デモ用のためかどうかは分からないが、毒々しいオレンジ色の保護カバーで巻かれている。電池1つの大きさは単一電池とほぼ同じ位に思えた。それが何10個もこのケースの中に納められているのだ。ケースの大きさ自体はAZ−1のガソリンタンクよりも大きいことから、その巨大さ・電池の数の多さが分かるというもの。昔、漫画の「こち亀」に、1/1スケールの戦車のプラモデルをつくり、模型の駆動エネルギー源が単一電池数百本という話があったが、プリウスはまさにそれを現実のものとしたという感じだ。