スマートロードスター、その2

 しかしこのスマートロードスター、一瞥しただけでやたらと粗が目に付いてしまった。

 まずリアのトランクフード。矢印の部分が黒くなっているが、これは写真の写りが悪いわけではない。塗装されていないのだ。コスト削減の一環なんだろうか。それにしてはトランクのステーが2本もついているし(この重さだったら1本で十分)。




 スマートロードスターはAZ−1と同様外板はプラスチックである。その接合のネジがこれ。ゴムの台座がない。外板が割れないにしても、何度か取り外ししたら塗膜にヒビが入る。




 ABSか何か剥き出しのドア。しかもこのドア、閉めたときに実に安っぽい音がする。重厚な音がしないのだ。その理由は2つ。このドアは文字通り、重く厚くないため。さらにオープンで屋根が開いているので、ドアを閉めるときに空気の抵抗が発生しない。そのためドアを押したときの勢いのままドアが閉まってしまい、非常に安っぽい音がする。私的官能評価では軽トラ以下。もしAZ−1がこんなだったら最低だな。幸いというか間抜けというか、AZ−1のドアは非常に重いため、まあ普通の音といっていいと思う。




 極めつけはこれ。フロントウインドウの接合面から、ガラスのウレタン接着剤がはみ出ていた。




 一瞥しただけで、つまりあら探しをするつもりがなくてもこれだけ粗が目に付いてしまった。しかも最も美しく見せる必要のある展示車両でである。量産ばらつきを考えると、いったいどんな車になるのだろう?? スマートの社長はリコール隠し(=品質)で問題を抱える三菱の社長となった。こんなんで大丈夫??

 と思っていたら、ゴールデンウイークの直前に大どんでん返しが起こってしまった。ご存じの通り、ダイムラーが三菱自動車から手を引いてしまったのだ。よってスマートの社長が三菱の社長になる話はご破算。それにより会社存亡の危機という状況に一転して陥った。
 かかる状況からして、昨今の三菱の状況は芳しくないと思われがちだ。スーパーでは何か問題が発生すると商品の一斉撤去などを起こす。雪印や浅田農産など、品質上の大問題を起こしてしまった企業はことごとく死んでいる。そのため三菱の車は現在1台も売れてないのではないかと類推してしまうのだが、実はそれを覆してしまうようなデータがある。2003年度の三菱の売上高は前年比1.1%増しだったのだ。この伸び率はトヨタと同じである。さらに驚かされるのは、何年間にも渡って三菱の車は販売トップ10の中にほとんど入っていない点である。これらの逆境の中で成長していることを考えると、その販売力はトヨタさえしのぐ驚異的なものであるといえまいか。もっとも、山のようにある三菱財閥の直系企業及び関連企業、それらの家族・親族・友人・知人が買い支えていると言えなくもないが。
 ここのところ日本の自動車会社は列強(笑)の傘下にことごとく入っている。ま、形はどうであれ、日本独立の自動車会社が復活したことは脳天気に嬉しい。だいたい、1.1%も成長しているんだから、オイルショックのときのマツダに比べれば屁のような逆風でしかないよ。三菱の犯した過ちは許されざるものであるが、逆境に負けずこれからもがんばってもらいたいと思うのであった。