出品数の推移の詳細な分析
出品システム利用料導入で210万件が消え去ったヤフーオークション。では消えた210万件の内訳はどのようになっているのだろうか。それを検討してみる。
まず、ヤフオク全体の出品数の推移からみてみよう。「オークション統計ページ(仮)」の統計結果をみてみると、4月13日から徐々に減り始め、4月25日に底を打っていることがわかる。25日に底を打った理由は、出品システム利用料徴収開始である4月15日から10日ほど経過したためであると考えられる。つまり出品期間の最大値である10日間までは、オークションから撤退する人の出品物が徐々に減っていったのだが、10日をすぎればヤフオク撤退組の人がいなくなるため出品数が減らなくなったということであろう。ただ4月25日以降、出品数が増加する兆候は見られない。この原因として、Yahoo ウォレットへの登録の遅れが考えられるが定かではない。今後のヤフオクを占う上では、この点が気がかりなところだ。

「オークション統計ページ(仮)」記載のグラフに注釈を入れて使用(転載承諾済み)
次に消えた210万件の内訳の分析に入る。が、本来なら全カテゴリの出品数の推移を調べる必要があるのだが、それは私の力では不可能なので「az-1」で検索してヒットした出品数の推移から分析してみる。オークションを定期的に見ている人はわかると思うのだが、買い手が付かないのに何度も再出品されているものがある。このようなものが、出品システム利用料徴収開始後にどのように変化していったのか調べてみた(暇だね〜)。ちなみに出品システム利用料導入は、このような不良在庫を減らす狙いもある。なお、「自動車」のカテゴリの出品数、「az-1」で検索してヒットした出品数はともに全出品数の推移と同様に減少している。「az-1」で検索してヒットした出品数は4月14日に85件だったものが、5月1日現在では1年前の出品数より若干多い47件となった。

自動車のカテゴリの出品数の推移

「az-1」で検索してヒットした出品数の推移
まず4月15日以降、再出品されなかったものについて。これらには、「AZ−1用メーターパネル」、「アーシングケーブル」、「AZ−1用ラジエター」等19件に登った。一方4月15日以降も再出品され続けたものは、「ステンメッシュブレーキホース」、「スリットローター2枚セット」等17件。出品システム利用料徴収によって、不良在庫の出品数は約半分に減った。またヤフオクの落札率をみると、4月15日以降上昇していることがわかる。この結果は不良在庫が減少したことを示す傍証といえる。

「オークション統計ページ(仮)」記載のグラフに注釈を入れて使用(転載承諾済み)
以上、「az-1」で検索してヒットした結果をまとめてみよう。4月14日時点の出品数は85件であった。それが5月1日になると47件までに減少した。4月15日以降、買い手が付かないのに何度も再出品されていたものは17件。従って47件-17件=30件が、出品システム利用料徴収後に正味買い手のついた出品物の合計となる。
一方、出品システム利用料徴収前の4月14日以前の正味買い手のついた出品物の数だが、これは85件-(19件+17件)=49件となる。従って出品システム利用料徴収開始後に減少した正味の出品数は、49件-30件=19件。出品システム利用料によって正味買い手のつく出品物は約40%減少したことがわかった。
かなり無理があるが、このようにして分析された結果がヤフオク全体の傾向を表すものと仮定すると、消えた210万件のうち、買い手の付く可能性の高い出品物の約40%がヤフオクから消えたことになる。これらの物はオークションには出品されず、捨てられる運命にあるのだろう。不良在庫が消えるのはいいとして、「普通の人には単なるゴミでも必要な人にとっては宝物」という物がインターネットオークション上から消えてしまったことは残念だ。