パイロットベアリング
これが問題のパイロットベアリング。錆だらけである。ベアリングとしての機能はなくなり、回転しなくなっていた。テンショナーのベアリングともども、水没したらことごとくベアリングはダメになってしまう。
このベアリングがどのように悪さをしたかを見ていく。まず何も付いていない状態のインプットシャフト。
これにクラッチディスクを取り付けてみた。新品を取り付けるかのごとく、難なく入った。
ここで、パイロットベアリングを入れる。が、これ以上入らない。逆に言うと、パイロットベアリングがさび付いて取れなかったから、エンジンとミッションが切り離せなかったのである。
別のミッションを使って、パイロットベアリングのみをインプットシャフトに入れてみた。左が正常、右が水没車のもの。水没車のは、やはり途中までしか入らない。ちなみに撮影していないが、水没車のミッションのインプットシャフトに同様の実験をしたところ、正常なベアリングは問題無く入った。
入らないということは、内径が違うのだろうか。左が正常、右が水没車のもの。水没車の方が、わずか0.04mmほど内径が小さい(錆びて膨らんでいる)。たったこれだけのクリアランスの違いで、エンジンとミッションの切り離しに2日がかりの苦労をしたというのか。
前頁で紹介した通り、また水没車のパイロットベアリングの外周をみてもあまり錆が発生していないことから、しっかりと締結されている部分は水が入らず、結果的に錆が発生しないと言える。一方で、わずかなクリアランスが必要なパイロットベアリングの内周部分は錆が発生しやすいと言える。
次頁では、もう1つのベアリングであるレリーズベアリングを見ていく。