電動ファンリレーの不具合の事例から、他の不具合発生を予見する

 防水が不十分な車外にあるカプラーが使われている部分は他にもある。従って、電動ファンリレーの不具合の事例から、そのような場所で不具合が発生する可能性が高い。実際、それが原因と考えられる事象が発生している。


 エンジンルーム左側にリレーが2つある。これはメインリレーと燃料ポンプリレーだ。双方とも防水構造となっていないカプラが使われている。





 少し前から頻発している不具合に、燃料ポンプが作動しなくなり、その結果エンジンがかからなくなるというものがある。皆さんから動かなくなった燃料ポンプをいろいろ送っていただいたのだが、ほとんどの場合何の問題も無く作動してしまった。内部を分解しても錆などは見られなかった。強いて言えば、コミュテータ−の摩耗が激しいとかコミュテータ−が黒ずんでいる程度だった。その際はこれらが悪いと一旦結論づけたが、十分に説明がつかない部分もあった。
 今回の事象を踏まえると、燃料ポンプが動かなくなったのは、ポンプに問題が発生しているのではなく、リレーや端子の接触不良であることも視野に入れるべきであろう。リレーの交換で済むのなら修理費用は大幅に安くなる。



 もう1つの問題はオルタネータだ。最近は、AZ−1純正の三菱製オルタネータではなく、ワゴンR等に使われていたデンソー製オルタネータに交換されたAZ−1が多くなってきた。下のような形状をしている物だ。ちなみに下のオルタはAZ−1純正よりも発電能力の高いタイプである。



 問題は、L端子やIG端子のコネクタ。防水加工が全くなされていない。この端子が接触不良を起こすとオルタネータが正常作動せず、充電されなくなる。



 一方で三菱製オルタネータは、十分な防水加工が施されている。



 というわけで、デンソー製オルタネータに換装している人、三菱製オルタネータをリビルトに出してデンソー製が送り返された人は、端子の定期的なメンテナンスが必要と考えられる。




 参考までに、デンソー製オルタネータに換装される理由を記す。実は、AZ−1純正の三菱製オルタネータのレギュレータは、模造品も含めて既に世界的に流通していない。従ってもし壊れたらデンソー製に換装するしかない。
 一方でデンソー製オルタネータは、レギュレータやレクチファイヤも含めて模造品が多数流通している。よってリビルトしやすい。例えば、個人的によく使う海外の部品商一例を見てみると、特に海外メーカーの旧いオルタネータの部品は、純正部品ではなく模造品である(ちゃんと機能はする)。


 さらに余談を述べると、「外車は旧くなってもパーツが出る」という話があるが、これは純正部品ではなく模造品・非正規ルートの品が多数出回っていることも要員の1つだ。なぜ模造品・非正規ルート品が出回るのかについては長くなるので別の機会に述べよう。