未来のマツダ車

 環境問題に関心が高まる中、かつて一躍脚光を浴びた車があった。それがこの水素ロータリーエンジンを搭載した車、HR-Xである。水素ロータリーエンジンとは、水素を燃料として、水素と酸素を反応(爆発)させて運動エネルギーにしてしまうというエンジンだ。ロータリーはその構造上、レシプロエンジンとは異なり、吸気・燃焼・膨張・排気の各工程が独立した空間になるため、吸気行程で爆発してしまった等と言うことが起こりにくい。水素とロータリーの相性はいい、というのはこのためなのだ。
 また水素は「水素吸蔵合金」と呼ばれる合金から供給される。水素吸蔵合金とは金属の原子の間に水素が入り込み、蓄えることのできる特殊な合金である。熱をかけない限り水素が漏れ出すことはないので、水素ボンベを積んで走るのとは異なり、万一の場合でも爆発事故が起こるようなことはない。
 この車の排気音だが、まさに水素と酸素が反応して爆発しているという感じの音がする。水素と酸素が反応するときの音はもの凄いものがある。聞いたことのある人なら分かるとは思うが(高校の理科の実験で水素爆鳴器の実験をしたことがあるかな?)、とにかく信じがたいほど大きな音がする。その音を普通のサイレンサーで消そう言うのだから、無理ならぬ話か。


「水滴」をモチーフにしてデザインされたというが・・・カッコ悪


 次に紹介するのが、ロードスターの電気自動車である。先程も述べたとおり、今回のマツダミュージアムの紹介は、ロードスター10周年ミーティングのオプショナルツアーの一環として行われたものであるため、ギャラリーは私を除いてロードスターオーナーだけだと言っていい。が、この電気自動車はほとんど注目を集めなかった。自分の車が電気自動車に改造されたのならば、どこが変わっているのか等興味と好奇を持って観察するのが普通の濃いオーナーのする事だと思うのだが・・・彼らはロードスターに乗るのではなく、FR車に乗るのでもなく、オープンカーに乗るのでもなく、単なる「車」に乗っているという意識なのだろうか。よくわからん。ちなみにこの車は、アニバーサリーの試作車をベースにしたものだそうだ。



 こちらはリアビューである。トランク部分に電池が積まれている。展示用とはいえやはり秘密の部分があるのか、パンチングメタルで覆われていた。


 ところで、電気自動車なり燃料電池自動車なり、この手の試作車にはスポーツカーやRVが選ばれる場合が多い。その理由だが、電気自動車などは電池の置き場が必要であるため、大きくそして重くなる。だからスペースと最大積載量の大きいRV車が選ばれるのだ。またスポーツカーが選ばれる理由は、車重が増えても耐えられる、レース用の強化サスが準備されているためである。しかも見栄えがいい。


 最後は、ASV(Advanced Safty Vehicle)である。ASVとは車を安全に走らせるための技術がてんこ盛りになった車である。旧型センティアを改造した車には、各種センサーが取り付けられており、例えばフロント部分にはレーザーレーダーが取り付けられており、車間距離が狭まると自動的にスピードが落ちたりブレーキが利くようになっていたりする。フロントのバンパーにメッシュが入っていたりする部分があるが、この中に各種のセンサーが取り付けられているのだ。