マルチスパークプラグの問題点、その1
その前に、新品状態でのプラグの導通抵抗を測定した。一度でもエンジンに取り付けて始動させると、表面に非導通の酸化膜が形成され、抵抗が無限大になってしまうためだ。チャンスはエンジン始動前の一度きり。
矢印部分の抵抗を測定したら、約3.8オームだった。
中心電極の導通はというと、ほぼ抵抗なし。自動車用のプラグではラジオに雑音が入ったりするのを防ぐため抵抗入りなのだが、バイク用のこのプラグは抵抗なし。
これを踏まえた上で、プラグに火花を飛ばしていた時に発見した、普通のプラグとは異なる特性を見ていく。このマルチスパークプラグは、数分間連続して火花を飛ばすと、かなり熱を持つ。熱を持つと言うことは、その分無駄なエネルギーロスがあるということだ。さっそくプラグの温度を見ていこう。
左の写真がF6Aに装着可能なマルチスパークプラグ、右がイリジウムプラグだ。下に行くほど火花を飛ばした時間が長くなる。プラグの写真に矢印があるが、そこが測温ポイントとなる。
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テスト開始前 |
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1分後 |
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2分後 |
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3分後 |
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4分後 |
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温度差 |
3.5度 |
0.9度 |
驚くべきはプラグの本体部分の温度で、なんと38℃以上にもなった。
温度差が生じるということは、エネルギーロスがあることを示すのだが、そのロスが肝心の走りにどう影響するかまでは不明である。
次頁では、ビート用のマルチスパークプラグと、インチキマルチスパークプラグと比較してみる。