出航 & DASH島

 母港である横浜や神戸ほどではないにせよ、飛鳥が広島に来るのはそんなに珍しいことではない。が、呉港には今回初入港となった。呉鎮守府に来るということは、護衛艦やその他の貨物船、瀬戸の小島を結ぶ小型のフェリーや漁船と飛鳥が交わることを意味する。



 地元の船マニアにはそれだけでもたまらないのだが、もっと凄いことがあった。広島港に寄港していた帆船の日本丸と飛鳥が交わるのである。飛鳥の船員さんに聞いたところ、こんなことはまずないそうだ。このあり得ない状況に、マニアは狂喜乱舞の域に達している。詳細はここを参照(Caroenguinの船ブログ)
 写真を撮影する船マニアは、車を撮影する我々とは決定的に異なる点があって驚かされた。例えば我々の場合、サーキットを走る車を撮影するときは、基本的に撮影場所を固定し車が近づいて来るのを待つ。しかし船マニアは、船の足が遅いことを利用して、違う撮影場所に自ら移動して撮影し続けるのである。こんな芸当は考えてもみなかったので、今回いろいろとブログを拝見させてもらって驚いた。


 乗船後、荷物をてきぱきとクローゼットの中に押し込み、準備完了(手荷物を部屋まで運んでくれるサービスもあるが、これを使うと荷物が届くまでに時間がかかって、どつぼにはまることがある)。ウエルカムスパークリングワインを飲みつつ、銅鑼の音とともに呉港出港。いや〜、紙テープ投げは楽しいなあ。ちなみに2015年現在、世界最大の客船の排水量は約22万トン。それに対し、飛鳥2は約5万トン。日本が誇る客船とはいえ、排水量だけで世界と比較すれば、「もはや中の下」クラスである。



 瀬戸内海を航行していると、右手に変な島が見えてきた。船長の話によるとテレビ番組でやっているDASH島なのだそうだ。正確には愛媛県の由利島というところ。古くは電波少年の企画でも使われた無人島である。テレビでは絶海の孤島のように描かれているが、周囲には普通に船が通っている。携帯電話がなくても、発煙筒を炊けば誰かすぐに助けに来てくれそうな雰囲気だった。



 逆光でうまく撮影できなかったが、トロッコの線路がある場所。線路は恐らく反対にあり、こちらから見えない。しかし、こんなに近くで見ることができるとは、思いもよらなかった。





カーナビで見た由利島(復路で撮影)


 そんなこんなでバタバタしていたらディナーの時間。メインは「国産牛のステーキ」なのだが・・・748円/100gでコストコにて売られている黒毛和牛を塩とコショウをかけて焼いた方がうまいぞ、と嫁さんと会話す。
 ディナーが終わると間髪入れず船首のステージでのショータイム。これらが終わると、この旅における夜中のメインイベントがやってきた。それは関門海峡通過。が、時間を読み誤ってしまい、デッキに出たときにはすんでの所で通過した後だった。話によると、なんでも客船の「にっぽん丸」と関門海峡ですれ違ったらしく、双方の乗客がお互いを写真に撮りまくって、レーザー砲(カメラのフラッシュ)の艦砲射撃状態だったそうだ。これも今回の旅で起こった奇跡である。


 飛鳥2には24時間体制で営業している飯屋がない。その代わり、時間限定での夜食はある。この日の夜食はうどん。母港が横浜だけあって、出汁は関東風。関西風の地元を往復するのだから、出汁ぐらい関西風にしろよと思ってしまった。

 次頁では、韓国上陸編をお伝えする。