保証書&インジェクター洗浄の必要性

 保証書もついてくる。



 黄線部分はリークに関する規定。「エンジン不動に至る程度の、インジェクター噴孔からの予期せぬ燃料供給(燃料漏れ)」とある。洗浄後の#1のインジェクターはリークしていたが、「エンジン不動に至る程度」とまではいえない。つまり、あの程度のリークは保証されないし、正常の範囲ということだ。これじゃあ、なんでもありじゃん。一旦エンジンに取り付けたら、実体を見ることができないし。



 この評価結果は、開弁率が100%と50%しかなかった。いずれも実車状態ではあり得ない噴射量である。また噴射パターンの善し悪しの判断基準も曖昧だ。結局、実車状態に近い開弁率で評価し飛型点も評価するのが正しい評価法なのかもしれない。




 さて、インジェクターの作動原理から、さらには今まで実験してきた数十本のインジェクターの実体から、インジェクターの洗浄が果たして必要なのかどうかを考えていきたい。
 まずはインジェクターの作動原理と構造。簡単にいえば、電磁バルブになっているだけだ。



 「新型車の紹介」に書かれていた文言。空燃比フィードバック制御について書かれている。これは理論空燃比に近づけるようなインジェクターの噴射制御のことだ。燃料を増やすには「燃焼噴射時間を増やす」とある。仮にインジェクターに詰まりがあって燃料噴射量が少ない異常品があったとしても、噴射時間をのばせばいいだけの話ということになる。
 ただし、F6Aの場合、4400rpmでフィードバック制御をしなくなるということなので、インジェクターに詰まりがあると、高回転時に息継ぎを起こすかもしれない。こういう場合は、インジェクター洗浄が有効になる。



 一方、使用履歴の異なるたくさん(30〜40本くらい)のインジェクターを評価してきたが、正直言って異常と言えるものはほとんどなかった。やっと見つけた異常品を洗浄に出したら、直っていないか洗浄効果は無いと言われる始末。つまり、インジェクターの異常とは、燃料のガム分などが詰まったことによって生じるものではなく、修理しようがない不良のことだったのだ。修理できないのであれば、洗浄したって効果がない。極論すれば、AZ−1のインジェクターは洗浄する必要がないのである。効果があるとすれば、最近の車に使われている噴射口の非常に細いタイプやディーゼル用のインジェクターだろう。

 長かったインジェクターのレポートもこれでおしまい。気になるようであれば、ワコーズのFuel one等のガソリンに添加するインジェクター洗浄剤を定期的に入れておけばいいのかもしれない。