インジェクター吐出実験、何をもって正常品とするのか、その1

 本試験の前に前提条件を述べたい。試験に用いるインジェクターは、1990年代前半に作られた最も単純な構造を持った物だと言うことだ。現在のインジェクターでも今回の実験は可能だが、燃料噴霧が微粒化され、多段噴射など行うインジェクターでは、適正な比較結果が得られない可能性がある。

  インジェクターに関するデンソーの論文の例

 インジェクター吐出実験では、前回作った試験装置(以下、発射台)を使ってどこまで水が飛んでいくかを調べることにした。具体的には、発射台の前方に板を置き、発射台から板に水がかかるまでの距離を調べる。下の写真でいうと、発射台から板の前端までの距離は2.4m。さらに板の長さが1.8mある。最も飛ぶものは、4.2mほど飛ぶことになる。なお簡易評価であるため、発射台の設置角度によって飛ぶ距離が変わるし、風の影響を受けたりしやすい。



 この手の実験で悩ましいのが、何を持って正常とするかだ。正常品の詳細スペックなど知る由もないし、知ったところでその性能を再現&測定できる装置を持っていない。ここでは、AZ−1の新品のインジェクターを正常品とし、それを使って得られた結果を正常値とする。しかし、新品のインジェクターを水に濡らすのは非常にもったいないが、やむを得ない。


当時物の箱及びビニール袋に入ったインジェクター


 ここで、新品と中古品を比較して見る。最も目を引くのが、新品は先端が灰色をしている点だ。中古品は茶色くなっている。



 中には、半分だけ茶色というものもある。何が原因でこんな事になるのかは不明。また、変色がどのような影響を及ぼすのかも不明である。



 次頁から、種々のインジェクターの吐出量を調べていく。