ノーマル(アッパーマウントのへたりなし)の計測

 ノーマル(アッパーマウントのへたりあり)と同様に「ノーマル(アッパーマウントのへたりなし)」の計測を行った。前頁でも述べたとおり、この装置では、サスペンションを縮ませるには実車とかけ離れた条件となるが、比較には使える。そこで、ノーマルサス同士の比較を行い、使用履歴が全くことなるサスペンションでの縮み方のばらつきを見てみる。もし、バネのへたりが発生するのであれば、使用履歴の異なるサスペンションで縮み量が異なるはずだ。同程度だったら、20年程度で(静的荷重での)バネのへたりは発生しない可能性が高くなる。

 肝心の縮む量(メジャーでの計測値)は、フロントが約35mm(初期値100mm−メジャー表示値65mm=35mm)となった。前頁の結果とほぼ同じである。



 リアの場合は、約18mm(初期値100mm−メジャー表示値82mm=18mm)となった。これも、前頁の結果とほぼ同じである。



 使用履歴の異なるサスペンションで縮み量が同程度だったため、20年程度で(静的荷重での)バネは一律にへたるか、へたりは発生しない可能性が高いといえる。

 一方、バネ定数のスペックをもとに、今回の結果が理論値と一致するか簡単な計算を試みようとした。が、私自身純正の正確なバネ定数を知らない(爆死)。逆に、今回の実験結果を逆算してバネ定数を求めると、計算結果が本当に正しいのか疑わしい値が出てくる。私が変な計算をしているとしか思えない。


 従って、この結果を開示するにとどめ、あとはサスペンションに詳しい人が適切な計算をして真値を求めて欲しいと思う。なお今回は90kg程度しか負荷をかけていない。実際の車ではその倍の負荷がかかっていることから、この実験自体適切なバネ定数を求めるには不十分な条件で行ったものなのかもしれない。
 また、車を走らせる上ではサスペンションは常に動いている。動いたときにどのような特性を示すのかまでは、手持ちの装置では計測できない。各地に存在する工業試験センターにでも行けば適切な条件で測定できる装置があると思う。


 今回の実験の元々の発端は、「車検をクリアするための最低地上高が確保できなかった」ということである。静的荷重実験だけでよしとしよう。しかし、それにしてもなぜ最低地上高が確保できなかったのか、どうにも不可思議である。