タイヤの内側&詳細解析

 ホイールからタイヤをはずした。テンパータイヤのサイドウォールは非常に固いためはずしにくい。ひょっとすると途中でタイヤが裂けるのではないかと思ったが、心配無用でだった。



 穴が開いている部分は、思ったほど大きくなかった。



 さらに、穴が開いていない部分のゴムは、広い部分で剥離していることが確認できる。



 外側のゴムの一部にカッターで切り込みを入れ、中がどうなっているかさらに見ていくことにした。



 めくってみると、トレッドのゴムとカーカスが完全にはがれていることがわかる。



 下の写真を見ると、カーカスが切れているように見えるが、切れていない。このテンパータイヤのカーカスは、サイドウォールにまで達していない。途中で終わっている。それがはがれてしまったため、切れたように見えている。



 下の写真は、カーカスが切れてはいないが、ばらばらになっている。



 別の部分のカーカスをほじくっていくと、完全に穴が開いているのが見えた。ここが起点となって破裂したと思われる。ただし、ここまで分解しても、破裂した原因の特定には至らなかった。推定でしかないが、何らかの劣化によってトレッドセパレーションが生じたと思われる。開いた穴の大きさから推定すると、恐らく内側から軽微なトレッドセパレーションが発生して外側に向かって空気がもれ、外側のセパレーションが徐々に広がり、限界を超えて破裂したのではないかと考えられる。



 なお、カーカスは下の写真のように簡単にほつれる。しかし、人間の手で引っ張ったぐらいでは切れたりはしない(カーボンファイバーのように、横方向にはすぐに分離するが、引っ張り方向には強いということ)。恐らく、カーカス自体の劣化はないものと考えられる。



 そのカーカスの材質だが、恐らくナイロンと思われる。全く別のテンパータイヤには、ナイロンの表記がある。



 これで破裂したテンパータイヤの解析はおしまい。なお、トレッド面のゴムをさらに引きはがそうと力を加えて写真上方向に引っ張ったが、はがれなかった。当たり前だが、相当強い接着力でゴムとカーカスが密着している。今回の事例では、それがいとも簡単に、しかも綺麗にはがれている。何らかの劣化が生じているのは間違いないだろう。ただし、それがテンパータイヤを車室内に置いていたことと関連性があるのかまでは言えない。