異常なインジェクターとは、どのような噴射状態になっているのか?

 nanaoさんのインジェクターをテストするのと当時に、いろいろなインジェクターを試したところ、初代ロードスターのインジェクターにかなり異常な特性を持っているものがあることがわかったので、それを紹介したい。F6Aエンジンのインジェクターは初代ロードスターのインジェクターと形状が同じだったため、テストできたのだ。

 なおガソリンを使用してテストするわけにはいかないので、燃料の代わりに水道水を使用した。水は矢印部分から飛び出す。



 通電したところ。水が飛び出している。開弁率が100%での状態である。この水、角度にもよるが2m以上飛んでいくのだ。
 インジェクターの内部抵抗は14Ωだった。そこに12Vのバッテリーをつなげるため、オームの法則に基づいて計算すると、インジェクターに流れる電流は約0.8Aとなる。インジェクターの中に入っているコイルの細さを考えると、かなりの電流だ。整備書によると、5秒以上通電するなと書いてある。が、実際は10秒以上通電しても問題無かった。



 ここで異常なインジェクターを見ていく。これは初代ロードスターのインジェクターなのだが、水の出方が他と著しく異なる。



 近づいて見ても、明らかにおかしい。



 それともう1つ。曲がって飛んでいる。



 これらが、今回誰の目にもわかる異常さをもったインジェクターだった。となると、気になるのは燃料噴射量。異常なインジェクターは正常なインジェクターより噴射量が少ないと思われていたのだが・・・
 正常・異常品とも噴射量は同じだった。約30cc/15秒。



 このテスト装置では、噴射の状態を目視で確認することで正常・異常の大まかな区別は付けられるが、細かい差が判別できないのかもしれない。さらにいうと、インジェクターの洗浄サービスで噴射量のテストデータが付いてくるが、簡易評価結果は開弁率100%のデータであること=本装置と基本構成は同じ装置でのデータであるため、よほど詰まったインジェクターをテストしない限り、正常・異常の差は見えてこない可能性もある。


 次回は、このテスト装置を使用して正常・異常品の違いを定量的に明らかにできないかトライしていくとともに、自己流洗浄法でインジェクターを洗浄し、正常になるかどうかを見てみる。このレポート、結構時間が取られそうだ。