復元製作過程、その3




 なんと、設計図が出てきたらしい。興味深いのは、ボンネット裏に貼ってある骨。現在の車では、ぶつかったときに折れ曲がるような骨の入り方をしている。が、パブリカスポーツではそうなっていない。



 キャノピーは、オリジナルのスライド機構がわからなかったため、復元モデルはオリジナルと異なるとのこと。



 が、オリジナルの写真を改めて見ると、どうみてもスライド機構は付いていないようにみえる。オリジナルでは、実はキャノピーはスライドせず、単にかぶせてあるだけ(いかにもスライドするように見えるだけ)ではなかったのか。当時の雑誌に「スライドして開く」と書かれていても、トヨタの圧力によるねつ造だったことも十分に考えられる。仮にスライドしなかったことが事実だとしても、夢を壊すので解説にあるような表現にならざるを得ないだろう。
 【訂正】マジでスライドする映像をいただいたので掲載する。予想外にスムーズに動く。



 復元決定時点では、本当に設計図が見つからなかったことを伺わせる説明。ここには、理解を超えた情熱と実行力がある。



 ナンコイチにもして作られたエンジン。どのような組織の力が働いて、部品を集めたのだろうか。



 ガラスやヘッドライトのレンズはアクリルで復元されたと考えられる。



 一過性のイベントのための復活ではなく、本当に長期保管を考えていることを示す部品の1つ。



 足周りはトヨタS800のものを流用。車の発表順から考えると、オリジナルの足周りは別物が使われていたのだと思う。



 板金と塗装。塗料は当時の色がないと説明してあるが、恐らく「当時の色を再現させるだけの色情報が無い」というのが正確なところだと思われる。トヨタS800の銀色でもよかったのではないかと思うのだが・・・これもあてにならないのだろう。マツダでも、コスモスポーツの白はどの色だったかよくわからないのだから(青みがかった白、クリーム色がかった白、MATビハイクルのような白の3つがある)。



 完成。復元のきっかけは、「トヨタS800が自動車殿堂入りした記念」なのだろうが、それにしてもやることが大がかりだ。さすがはトヨタとしかいいようがなく、また全自動車会社をリードしていくという自負心の存在も、こういうことをさせる原動力なのだろう。


 次回は、その自動車殿堂入りしたトヨタS800について、改めて見ていくとともに、パブリカスポーツとの比較も行う。