フィナーレ

 時間が押せ押せの中パーティーが終了し、いよいよフィナーレとなった。時間が短い中行われたのは、20周年記念酒の配布(移動免許を取った上での対応)、AZ−1開発者のサイン会、電気自動車AZ−1のデモ走行、ラジコンAZ−1のデモ走行、そして最後の挨拶だ。


 サイン会。これはAZ−1のボンネットに開発陣のサインを入れてもらうというもの。開発者のサインが車に刻まれてこそ、初めて魂が入ると信じる。
 たくさんの人が並んだらどうしようと思っていたのだが、2ヶ月前に行った広島市交通科学館のAZ−1デーでのサイン会で、かなりの数がはけてしまったようで、20周年ミーティング当日は、そんなに多くの人がサインを求めてこなかったので助かった。



 電気自動車AZ−1の走行。当たり前だがエンジン音が聞こえない。聞こえるのはミッションの音のみ。なぜわかるかというと、いつも聞いている音からエンジン音を差し引いた音だったからだ。AZ−1のミッションって、結構うるさいんだということがわかってしまった。少なくとも、プリウスがモーターで動いているときよりうるさかった。



 AZ−1のラジコンのデモ走行。非常停止スイッチを押す要員として、私が助手席に乗り込んだ。一番最初に乗ったときは凄く怖かったのだが、一度経験があるためか今回は問題なし。非常停止スイッチを押すよう身構えていたので、写真が撮れなかった・・・


 駆け足になってしまったが、最後の挨拶。20周年ミーティングより参加代数の多いミーティングは山のようにあれど、これだけ濃いミーティングは古今例がなかったであろう。信じられないようなこだわりと技術レベルを持ったAZ−1が一同に会したわけだから。以下、台本のままである。当日しゃべった内容と違うと思うけど・・・
 いや〜、濃いミーティングでしたね。あと100年100万キロを乗り続けるためのヒントとなった車を直接確認できたのではないかと思います。ここで一点皆さんにお願いします。AZ-1のように最大でも4000台しかない車のような狭い世界に閉じこもらないでください。他の旧車や希少車にも目を向けて、彼らのよいところ、悪いところを見ていき、AZ-1のさらなる飛躍のために反映させてください。
 集まった車を改めてご覧ください。こんな濃い車は他にないでしょう。そういう意味でAZ-1はまさに日本のトップを走っているといっても過言ではありません。あと100年100万キロのために我々はどういう方向に進めばいいのか、一番簡単な方法を紹介しましょう。AZ-1がこの位置にあるとすると、他の車はこの位置にあります。この2点を結んだ延長線こそが、あと100年100万キロ乗り続けるための方向になります。そういう点からも他の旧車や希少車にも目を向けてほしいですね。
 それでは道中安全にお帰りください。本日は大変ありがとうございました。
 ちょっと補足しよう。我々が進むべき方向の出し方である。グラフを書くとこうなる。下の図では、横軸が技術や知識など、縦軸が濃さや意欲などを示している。人によって軸の意味は変わっても問題無い。他車とAZ−1とを比較し、この2点を結んだ延長線こそが、あと100年100万キロ乗り続けるための方向、我々が進むべき方向になる。



 ところが、現実は自分の興味のある領域だけに目を向けてしまい、他車の動向や見習うべき部分・他山の石とすべき部分が見えてこない。自動車趣味の世界には「他と比較しないのが美徳」、「ただ漫然と乗り続けさえすればいい」という風潮すらある。これでは、結果として誤った方向にいったり、最終的には衰退の方向へ進んでしまう。当HPにおける「特別企画」で、AZ−1と関係ない車のレポートを散々やっているのは、他車の事例を紹介することで、上記のグラフを書きやすくするためなのだ。
 AZ−1オーナー個々人が持つ技術やノウハウ、知識、技能などは、この20年で相当上がったと思う。だからこそ、単に車を乗り回した挙げ句、飽きたら売る・壊れたら捨てる・気が向いたときに修理する・部品がなくなって困り果てる、ということになっていないのだと思う。AZ−1と同世代の他車が今どのような惨状をむかえているか、各自で比較・確認して欲しい。


 あと100年100万キロ乗り続けるために、AZ−1以外の車にも目を向けよう。そして他車の見習うべき部分・他山の石とすべき部分をAZ−1に反映させ、みんなと共有し改善していこう。そうすることで、ただ漫然と趣味の車を保有し、集まって飯食って喜んでいる旧来の自動車趣味では得られない次元の楽しみが得られるはずだ。マズローの欲求段階説を引っ張り出して説明すると、「自己実現の欲求」に相当する喜びがある。




 次回はいよいよ最終回。参加の皆さんから寄せられた、AZ−1の変化点の観測データなどについてまとめる。