奇跡は起きます、起こしてみせます

 一度展示から消えた車は復活させることが難しいと書いたが、近年になって約10年ぶりに奇跡の復活を果たした車が2台ある。それがサバンナ(RX-3)とコスモAPだ。



 ちなみにこのサバンナは実になぞめいた車でもある。AZ-1の幻のマイナーチェンジ車よりも怪しい。この車、500万台記念車とあるが、以前展示されていた車の横には、下のキャロルと同様ドアに「5,000,000」という数字が書かれていた。が、再展示されたこの車にはその表記がない。



 これらの車は、カーオブザイヤーを取ったファミリアとカペラを押しのけての展示となった。下の写真は、2000年のミュージアム改装時点での展示車両である。この写真からは見えないが、一番奥の定位置にAZ-1は今も昔も変わることなく展示されている。



 この2台に共通することは何かというと、オーナーの活動が活発な車であるという点だ。コスモは生誕35周年ミーティングをやったし、広島近郊でのマツダ関係の旧車界における総元締めで、マツダ関係の種々のイベントに協力している人が持っている車の1台がサバンナだったりする。



 つまり、活動が活発であればファンの期待に応えて奇跡の復活をしてもらえるということだ(結果論かもしれないが)。だとすれば、定期的に行っているAZ-1のミュージアムツアーは、椅子取りゲームに勝ち残っていくために極めて効果が大きいと考えられる。実際のところ、パンフレット・ミュージアムのエントランスホールにある歴史絵巻・実車展示の3点セットを2011年時点で満足している絶版車は、バタンコ、R360、コスモスポーツ、サバンナ、ロードスター、AZ-1しかない。





 話は変わって、ここからは悲観的な見方を・・・エントランスにある歴史絵巻だが、長さ自体は変化しないものの、世に送り出される車は増え続ける。実質的に椅子の数が減っているわけだ。
 これを踏まえて、歴史絵巻の変遷を見ていこう。まずはマツダミュージアム開館時の歴史絵巻。



 ミュージアムがマイナーチェンジしたときの歴史絵巻。



 そして今回2011年の改装・・・ランティスが消えた。



 AZ-1と同世代の車の中で、次に消える車は何なのか・・・
 単純に考えると、筆頭に上げられるのは他でもないAZ-1である。とにかくなんらエポックなことはないし、販売もガタガタ。

 が、私が予測する消える車はというと・・・「ユーノス500」。オーナーさんごめんなさい。理由は以下の通りだ。

 1.今まで日本国内に存在したブランド
 日本国内に存在したマツダのブランドは、マツダ、アンフィニ、フォード(オートラマ)、ユーノス、オートザムの5つだった。一方、歴史絵巻全体を見てみると、フォードとの資本提携をしたとかいう記述はあっても、フォードブランドの車の写真はない。AZ-1と同世代の車の写真をみても、オートラマの車は描かれていない。マツダのミュージアムなのだから、当然といえば当然かもしれない。
 マツダの歴史を歴史絵巻に記すには、オートラマ以外のブランドを描かない訳にはいかないだろう。

 2.ブランドの重複
 AZ-1と同世代の車をみると、同一ブランドの車が3台掲載されている。それはユーノスロードスター、ユーノスコスモ、ユーノス500である。その他のブランドを見ると、アンフィニが2台(RX-7とMPV)、マツダが1台(センティア)、オートザムが1台だ。
 改装で消えてしまったランティスのブランドは、「マツダ」である。センティアとブランドが重複していたため消されたとも考えられる。

 3.現状での存続ブランド
 現在も存続しているブランドは「マツダ」である。そして完全にOEM供給のみとなってしまったとはいえ、オートザムブランドは存続している。アンフィニもディーラーの名前として存続している。完全に消滅したブランドはユーノスである。

 4.結論
 既に消滅したブランドであり、描かれている同一ブランドの車で最も多いのがユーノス。となると、今後の椅子取りゲームでユーノスブランドの車が1つ消されると考えるのが自然である。ところがユーノスブランドには、ロードスターや3ローターのコスモがあり、マツダの歴史を語る上でこれらは絶対にはずせない車だ。となると消去法的にユーノス500が消えると推定される。
 ちなみに、歴史絵巻に描かれているオートザムブランドの車は、後にも先にもAZ-1しかない。日本国内での全ブランドを網羅することが歴史絵巻の方針だとすれば、AZ-1は椅子取りゲームに勝ち残ることが出来るともいえる。

 5.ユーノス500、一縷の望み
 以上日本国内でのブランドについて述べてきたが、海外で展開されたブランドを考慮すると、ユーノス500に一縷の望みが生まれる。現状の歴史絵巻の中で、「Xedos」ブランドだった車はユーノス500だけなのだ。「Xedos」ブランドだった車を載せるという判断が働くのであれば、アンフィニブランドの車が1つ消えることになる。仮にそうだとすれば、どう見てもMPVが消えるだろう。

 どちらが消えるかは、最終的にはオーナーの熱心さがキーになる可能性がある。