55号車にトラブル発生

 あまりにも順調に周回を重ねていき、完走楽勝・クラス上位入賞ムードが漂っていた朝9:00頃、突然のトラブルが55号車を襲いかかった。「ブレーキが抜ける感触がある」とのことでピットに入ってきたのだ。すると焼けたような変なニオイがする。
 ブレーキが抜けるとのことで、荷下ろし時に発見したブレーキフルードの漏れをまず疑ったのだが、リアにはそれらしい痕跡が見あたらない。



荷下ろし時に発見されたブレーキフルード漏れ


 そうこうするうちに、フロント左からフルードが漏れていることが明らかになった。実はこの時点で既に荷物を片付け始めていたのだが、それどころではなくなった。
 キャリパを見て唖然となった。パッドが完全に摩耗し、ブレーキピストンとパッドのプレートが一体化しているではないか。下の写真には写っていないが、こんな状態になったためキャリパシールのゴムがダメになり、そこからフルードが漏れ出していた。



 こりゃだめだということで、いろいろなチームを回ってキャリパの予備がないかあたった。ワークスで参加しているHOT-Kのチームがキャリパの予備を持ってきていると聞き、「面白いネタを撮らせてあげるからキャリパ貸して!」と頼んで貸してもらった。しかし、HAのワークスだったためキャリパは合わず、また問題となっているピストンの径も合わずで換装を断念せざるを得なかった。
 やむなく、左のブレーキホースのバンジョーにボルトをかませ、ボルトの頭とナット部分に、もともとキャリパについていた銅パッキンをかませてフルードの漏れを止め、最後の数周のみ走って完走扱いにする作戦に変更した。事実上のリタイヤである。まさに、「藤岡弘、探検隊」の放送最後にやる「名誉ある撤退」の無念さとロッキーのテーマが頭の中を流れる。



ピットで停車中


 今までの経験上、パッドは24時間走っても楽勝でもっていた。その心の隙が、ブレーキフルード残量のこまめな点検を怠らせ、パッドの摩耗に気がつかずに事実上のリタイヤを引き起こしたのだと大いに悔いた。が、車が日本に帰ってきて点検したところ、そういう問題ではなかったことが明らかになった。これについては最後のページで紹介する。