中国で売られている車の価格

 前頁で一番面白そうな記事を紹介したつもりだったのだが・・・面白くない! こりゃまた失礼しました。そういう人のために面白いそうな話をしていこう。雑誌に掲載されていた中国で売られている車の価格である。

 まず紹介するのが、この雑誌で紹介されていた中国で一番安い車。単位は「万元」になる。1元は2010年のレートで14円に相当する。一番安い車はというと、3.1万元。日本円で43万円になる。これでも中国で高給取りの人の1年分以上の年収に相当する。



 次に紹介するのはマツダの車。Mazda 2はデミオ、Mazda 6はアテンザ、見慣れない名前のMazda 5はプレマシーのことだ。一番高いアテンザで24万元。これが結構走っている。24万元といえば、中国で高給取りの人の10年分の年収に相当する。とても信じられない。中国=人件費が安い=物価も安い、という構図が成り立つはずなのだが、車はあてはまらない。その他、海外ブランド品も日本円換算すると日本とあまり変わらない値段となる。何か損した気分だ。



 こちらのグラフはトヨタの例。クラウンがやはり高いですな。
 中国と日本のガソリンの値段を比較すると、日本とあまり変わらない。ガソリン1Lが7〜8元ほどする。日本円で約110円だ。なんだ安いじゃないかと思われるかもしれないが、月給2000元の人がいたとして、彼の給料の全額をガソリン代につぎ込んだとしても、たったの250Lしか買えない価格なのである。ちなみに月給30万円の日本人なら2300Lも買える。車本体の価格だけでなく、維持費も相当かかる。こんな状態で車を買っているわけだ。理解できん。



 ホンダの例。「飛度」と書いてある車があるが、フィットのことと思われる。なんかわかるような、わからないような。「密着」とか「適合」とかいう名前じゃない。
 こんな状況で車を維持できるカラクリだが、2回目のレポートの時に紹介した孫さんの話によると、2つの理由があるそうだ。1つは、中国では親が最後まで子供の世話をするという習慣(というか契約書を書くらしい)があるそうで、家も車も親が購入資金を出しているとのこと。日本では老後の資金を消費に回すようにして景気を刺激させるような施策が検討されは消えということを繰り返しているが、中国ではそれに似たことが既に行われ、そこそこ成果が出ているともいえる。
 2つ目は、基本的に共働きなのだそうだ。そのため世帯収入は倍額となる。だから暮らしていけるわけだ。
 また高価なガソリンだが、会社から補助が出るらしい(通勤手当という性格の物ではない)。



 日産。何が何の車かさっぱりわからん。



 外車代表、VW。価格的には日本車と似たり寄ったりだ。



 では中国で販売される一番高い車は何かというと・・・フェラーリだった。



 長かった中国のレポートもこれでおしまい。彼らは今後いかなる発展を遂げていくのか見守っていきたい。が、その過程では確実に古い車が失われていく。しかも捨てられていく車は、「どうせ中国向けなんだから、適当に作って売っておけばいい。文句を言うやつは当局によって粛正されるのでクレームもあがってこないし」みたいな感じでノックダウン生産されたアウディーやワーゲンといった、先進各国では絶対に見ることのできない味わい深い仕様の車ばかりだけに、実に残念だ。「自ら文化を築き上げていこう」という気もないみたいなので、逆らえない潮流なのかもしれない。


 「新興国ビジネス」なんて言葉がある。成長することをあてにして投資などをすることだ。が、言い換えると「カネの使い方を知らない人間に、無理矢理カネを使わせるビジネスモデル」だということが、今回の中国訪問でわかってしまった。この調子では早晩中国経済は破綻する。が、それは世界恐慌の始まりかもしれないので、カネの貯められるうちにカネを貯め、カネが紙くずにならないよう、貸し倒れにならないよう注意を払いつつ対応していく必要があると感じた次第だ。