10年基準 ユーノス500、その1

 「10年基準」とは、ユーノス500のキャッチフレーズである。要は「10年経っても変わらぬ価値、10年経っても新車同様の品質」を謳っているのだが、実際の所どうなのだろう? 前者については10年経過する前に中古車市場から淘汰されてしまったので結果的に実現できなかった。後者について今回検証していく。

 マツダはバブル期に5チャンネル体勢を引いた。そのチャンネルの1つがユーノスである。これが後々大きな負担となったのは言うまでもない。なぜこんなことをしたかというと、理由の1つとして「マツダ」のブランドネームを消したかったことが挙げられる。いわゆるブランドの刷新である。が、結果としてそれは失敗に終わり、ユーノスとオートラマは完全に消滅した。

 で、これがユーノス500だ。左が前期型、右が後期型である。ユーノスには3ローターを乗せたコスモを筆頭に、ロードスター、プレッソ、ユーノス800、500、300、100、カーゴの8車種があったと思う。そのうち、ユーノス300はペルソナ、ユーノス100はファミリアアスティナ、ユーノスカーゴはボンゴトラックとかバンをベースとした、外見はベース車両とほとんど同じ車だった。その中でも、ユーノス500はベース車とは異なる外観をした車の1つだ。なお、ユーノスの消滅とともにユーノス500はなくなったが、ユーノス800はミレーニアとして、ユーノスロードスターはマツダロードスターとして存続した。




 当時の車としては珍しく、ラジエターグリルを銀メッキして目立たせている。アルファロメオの三角のラジエターグリルに似て無くもないのだが、これがいいんだよなあ。なお純正オプションで、金メッキになった物も存在した。




 セダンとしては、異例とも言えるほどフロントのノーズが低い。細長のライトがさらに低さを際だたせている。実を言うと、セダンを買うのだったらユーノス500、クーペを買うのだったらプローブだと思っていた(←いったいどういうポリシーなんだ??)。結局AZ−1に落ち着いたのだが、おかげで自動車趣味が出来るようになった。




 前置きはこのくらいにして、10年基準の真価をみていこう。ただし車の保管状態によって変わってくるので、当然ながら今回のレポートで全てが決まるわけではない。
 最初はヘッドライト。古い車になると黄色に変色してくるのだが、このユーノス500では変色が最小限に留まっていた。




 ウエザーストリップ。コケが生えている。が、ゴム自体の劣化は見られない。




 ワイパーカウルをとめているネジのプラスチック製の蓋。黒いままだ。




 対してAZ−1はすぐに白くなる。軽自動車と10年基準の車の作り違いがここに見られる。と思っていたのだが、白化したので艶消し黒のプラカラーで塗っているのだそうだ。10年基準を謳っていても既に15年以上経過しているので時効ということにしておこう。