NSUバンケルのロータリーエンジン

 これは自動車の世界遺産とすべきものだろう。写真では見たことがあるが、実物は初めてみた。現存するとは、しかも横浜にあるとは思ってもいなかった。



 まず最初に紹介するのが、マツダの作った2ローターロータリーエンジンの試作機である。見た目から受ける感じは、現行量産品の13Bとだいたい一致する。





 こちらがNSUバンケルの1ローターロータリーエンジン。現行量産品とはまるで違った形をしている。出力軸(エキセントリックシャフトに相当)側が上になっているのだ。
 オルタネータは付いていないが、それを動かすであろうプーリーが付いている。プーリーの右にあるのがデスビ。デスビキャップがついていない。当時のことだから、デスビはチェーンで回しているのだろう。デスビと一体となっている銀色の筐体は、そのケースだ。



 中央に見える四角いフランジのついた穴は、インテークとエグゾースト。どちらがインテークかわからないが、プラグの位置及びロータリーエンジンの一般的な説明(ローターは時計回り)から考えると、左側はインテークと思われる。一番右にある穴はクーラント用だろう。





 反対側にはクーラントの入り口もしくは出口がある。





 デスビを拡大したところ。当然ポイント式だ。





 プラグを拡大したところ。メーカーまでは見て取れなかった。





 色からして、ローターハウジングは鋳鉄製と思われる。まさに前世紀の遺物の感のあるエンジンだった。