積算型タコメーター、その1

 今回の集まりはツーリングであるため、これといったネタがない。ネタがなければ自分で作って持ち込むまで。というわけで、積算型タコメーターなるもののプロトタイプを作って、ツーリングで実走試験を行った。積算型タコメーターとは、エンジン回転数を1分当たりの回転数として表すのではなく、実際に回転した数を数えるタコメーターである。
 何に使うかというと、例えばオイル管理。通常は走行距離などで交換時期を判断すると思うが、例えばず〜っとアイドリングでエンジンを回していたとする。となると、走行距離ゼロでも交換しないといけない時期がくるのだが、いつ交換すればいいのか全然わからない。だが、積算した回転数がわかれば交換時期が判断できるようになる。これは極端な例としても、走行距離と積算回転数、各人の走り方やエンジンフィーリングを勘案すれば、より適切な管理ができるようになるはずだ。

 これがプロトタイプの本体。秋葉原の秋月電子で売られているPIC Basicの開発用ベースボードである。このボードの特徴はいろいろある。液晶は16文字×2行で半角英数カナと特殊文字が表示可能。多数の入出力ポートがあり、それらはパラレルポートになるだけでなくADコンバーターにもなる。つまり、TTLレベルでの入出力制御が可能である上、ADコンバーターで5Vまでの電圧を計測することも可能ということ。以上の機能があるだけでも涙ものなのだが、RS232Cレベルのシリアル入出力ポートとEEPROM(不揮発性メモリ)も有する。これだけのものがあれば、AZ−1のコンピューターの配線から信号を拾うことで、例えばADコンバーターで水温を読みとったり、そのデータをパソコンに転送してエクセルで処理したり、何かのタイミングでスイッチを入れたりすることができるのだ。唯一の欠点は、時計の機能を有していないためタイマーで動作させることができない事くらいだ。





 このキット、前々から発売されてはいたのだが、詳しいマニュアルがなかったため海のものとも山のものともわからず、手を出せずじまいだった。ところが去年の春あたりに「公式PIC-BASIC活用ブック」(ISBN4-88553-789-X)が電波新聞社から発行され、結構使えると言うことが分かったため、今回手を出した。今後このキットとAZ−1を絡ませた計測器などの制作にも手を出していきたい。今考えているのは、AZ−1のコンピューターから信号を取り出して、走行中の速度・吸気圧・エンジン回転数等を記録するデジタルタコグラフもどきとか、加速度センサーを組み合わせて、加速時にエアコンがオフになるような装置。同様の装置は水銀スイッチなどを使ってハード的に作ることが可能だが、PICボードを使うことでどのくらいの加速度がかかったときにエアコンをOFFにするとかいろいろな制御が簡単にオンボードで行えるようになる。
 なおこのキット自体は組立が非常に簡単であり、上述の公式活用ブックにもハンダの付け方から書いてあるので、誰でも組み立てられると思う。完成後の調整も不要だ。