運転席側ドア、その2

 被害の大きいAピラー。この状況でドアの前側の変形が少なかったのが不思議なくらいだ。




 さて、ドアに関しいつも議論の対象となるものがある。それはサイドインパクトバー。これは側突時に乗員を保護するものだが、AZ−1の場合サイドシルが高いためサイドインパクトバー自体が高い位置にあり、「意味がない」、「ない方がいい」とか「ドライバーに刺さる可能性がありかえって危険」との意見が多数を占めている。実際の事故ではどうなるのだろうか。
 今回の事例ではサイドインパクトバーが有効に機能するであろうと想定された側突とは異なり、斜め前からの側突となっている。このような場合、サイドインパクトバーはどのような効果があるのだろうか。実際に見てみた。すると・・・



 上の写真に示すように、ドア自体は大きく変形しているものの、サイドインパクトバーの通っている部分は変形していないことが分かる。

 別の角度からみてみよう。



 ドアロックの構造を隠すためモザイクだらけになっているのだが、サイドインパクトバーは変形せず、突っ張っていることが分かる。この事例の場合、サイドインパクトバーは乗員保護を保護するために機能しているのではなく、ドアが変形して開かなくなるのを防ぐために機能していると言える。もしサイドインパクトバーがなかったらドアが変形し、バーの下にあるロック部分もつぶれ、ドアが開かなかったのではないかと考えられる。といわけで、サイドインパクトバーは、切り取らずにつけておいたままの方がいいのかもしれない。