輸入車と日本車のスタイリングの比較

 先ほどのポルシェの場合もそうだったが、特にヨーロッパからの輸入車は各社で統一された顔つきをしている。これはブランドイメージの統一を図るためにやっているのだ。しかも一部を除いてどれも精悍な顔つきをしていてかっこいい。例えるなら、狩猟民族の血を引き継ぐ、獲物を狙う鋭い顔というところか。歴史と伝統と、実にわかりやすいスタイリング。周囲に迎合しないこだわり。これが輸入車の魅力といえよう。



プジョー406のセダンとクーペ。精悍ですね。




ルノーのセニック。この彫りの深い顔のデザインを
日本車は参考にしてほしい。

 一方、日本車の場合は皆さんよくご存じの通り「鯛やヒラメが舞い踊る」ような顔つきをした車ばかり。はっきりいって、格好悪い。普通の車がカッコ悪すぎてとても乗れる代物ではないため、どれもそれなりのかたちをしているワゴン・1ボックスタイプの車を選択せざるを得なかったことも現在のRVブームの原因の1つではないかと私は考えている。
 なぜそんなに格好悪いのか。それは日本のデザイナーの能力があまりに優れ、あまりに未来を見据えてデザインしているからである(笑)。簡単に言うと、彼等がデザインする物はどうしても前衛的なものになってしまうのだ。何事もそうであるが、前衛的なものは変な物、変な物は売れないのである。
 未来志向も結構だが、その反動がRVブームとともに起こっているレトロ車ブームにつながっていることに、デザイナーの人は早く気がついてほしいと思う。が、彼等は気がついていたとしても、常に革新することしか頭にない、革新すること(手段)が目的となっている、さらには革新こそ成長だと考えている右肩上がり大好きの首脳陣がそれに気がつかないと根本的解決にならないのかもしれない。意味のない革新がもたらしたものは、膨大な開発費と在庫の山である。いい加減にしないと足下をすくわれる。