KTC

 日本が誇るツールメーカーKTC(京都機械工具)も出展していた。




 下の写真はKTCのファンクラブ通信。こんなのまで発行してるんだ。




 展示してある工具を手に取ってみた。これはneprosというブランドネームで出ている、KTCの放つ対Snap-on用最終兵器。この写真に写っているものは、さらに高級感を出したもので、グリップが革巻きとなっているタイプ。




 一方こちらは通常タイプのneprosのラチェットハンドル。




 実際に手に持って比較してみた。右はSnap-onの代表的ラチェットハンドルの1つ、F723Aである。



 一見して分かることだが、neprosの方が太い。そのため手に持ってみると重い。Snap-onを使っている身からすると、持った瞬間体のバランスが崩れてしまうほど重く感じる。恐らく100g程度しか差がないと思うのだが、工具とはそれほどまでに微妙なものなのである。
 なぜneprosの方は太くしたか。それは太い方が握りやすいためである。握りやすいと力が入りやすい。だから太くした。しかしここでSnap-onユーザーは反論するだろう、そんなに力が必要ならインパクトを使うか、ブレーカーバーにパイプをさして使えばいいだろうと。
 以上の議論はどちらも正論。となると要は慣れと使用目的で工具の善し悪しの評価は大きく変わるということである。実はKTCの発行した冊子の中に、興味深い記事があった。これは工具評論家、吉村氏の記事である。上述の通り、工具の善し悪しの評価は変化する。しかしKTCの冊子に記事を書く以上、KTCの事は悪く言えない。かといってKTCの工具は世界一と書くと、これまたウソになる。そこでその人はどう書いたか。「KTCの工具は他の工具を測る標準原器のようなもの」と書いたのだ。うまい。しかし、うまいが故に、評価軸の存在しない工具評論の大切なカードを1枚使ってしまったことになる。他のメーカーの工具評論に対して、2度は使えないカード。今後この人が、評価軸がなく定量的表現も難しい世界でどのようなことを書いていくのか、個人的に興味が持たれる。

 余談はともかく、このラチェットハンドルの使い勝手だが、やっぱり重いのは個人的にはイカン。100g違ったとして100回持ち上げたら10kgのものを持ち上げたに相当する差が出てくる。通常の作業ならともかく、変な姿勢で作業しての10kgはきつい。
 またクイックリリースがついている。クリックリリースとは、ヘッドにあるボタンを押すことで差し込んであるソケットが取れるという機構なのだが、neprosの場合、クイックリリースを押さないと工具が付けられない(もしくは付けにくいだけなのかも)。Snap-onを使っているときは、リリースボタンを押す必要はないものの、いつもボタンを押しながらソケットを付けているのだが、neprosのように押さなければ付かないという状況になると、不便に感じた。