どうやって加工したのか

 今までの解析により、どのような加工がしてあるかまでは判明した。しかし、どのように加工したかが分からねば自作することが出来ない。そこでより細かくみて、加工法を推定してみた。

 強化ポンプの切削面を拡大すると、細かい螺旋状の切削跡がみえる。このことからフライス盤を使って加工したものと推定される。







 ただし、フライス盤を使って加工するには問題がある。まずオイルポンプハウジングの水平を出すことが難しい。オイルポンプは表を下にすると、複雑な形状をしていることから水平が全くでない。ということは、ポンプの加工以前に水平を出すためのジグを製作することから始める必要があり、余計な手間がかかる。
 次にセンターを出すのが難しい。下の写真のような構造をしていて、簡単にセンターの位置決めが出来る??





 う〜ん、困った。ではどうすれは簡単に水平とセンターを出して加工できるのだろうか。そこで1つ考えた。下の写真の矢印部分を旋盤の爪を3本内がけし、ハウジングごとぐるぐる回して切削するのだ。そうすれば、水平とセンターを簡単に出すことが可能だ。ただ、この方法には欠点がある。爪を内がけした際に、傷を付けてしまう可能性があることだ。ここはオイルシールが入る部分であるため、傷を付けるとオイル漏れに直結する。恐らくこのリスクを避けるため、わざわざフライス盤加工したものと考えられる。そのリスクを犯しても挑戦する人、そんなオイルポンプを実際に使ってみる人の出現に期待したい。そういう人のために安心材料を1ついうと、オイルポンプの精度は高くなくてもかまわないのだ。整備書によるとアウターギアとハウジングの間隙は、最大で0.3mmだという。0.3mmというと、手で触ってガタがわかる程度のものだ。





 あとこのレポートでは決定的に足りない点がある。カルタスのポンプギアの品番だ。この点についてはポンプを加工した人の意向も踏まえ、あえて伏せておく。カルタスのオイルポンプは複数ある。どうしても知りたいという人(自分で加工できるだけの技術と設備のある人、必ず実行する人)はメールちょうだい。