はじめに


 旧車に部品難はつきものですが、無いパーツは新たに作ればいいというのも事実です。現実にはレプリカ部品や強化部品が少なからず存在し流通しています。ただここで重要なのは、そうして個人が必要に応じて少量生産したパーツというのは、原則的には「公道以外での使用に限られるべき」ものという点です。このことを改めて確認しておきたいと思います。

 どういうことかと言うと、つまりこういう部品は1)元が古い設計のものであること2)零細企業あるいは個人が少数作る部品であること、この2つを忘れるなと言いたいのです。これをギリギリ妥当な価格で製造するためには(それでも時として原価割れ)充分な製品のテストを行う余裕などあるわけが無く、不幸な事に精度や材質、そして耐久性に問題があることが起こり得ます。また製品のクレームを円滑に処理できる能力が製作サイドにはありません。ありとあらゆるレプリカ部品が熱意と努力によって世に出ますが、それを選んで、ナンバー付きの自分の車に「流用」し、公道を走る、という行為については全て自己責任のもとに行うということを自覚してください。もし重要保安部品にレプリカ品を用いて、そのパーツが原因で他人を傷つけた場合の責任はすべて、そのパーツの優劣を見抜けなかった自分の眼力の不足に起因することを認識してください。もちろん製作者は不具合が起こらないよう最善の努力をつくさなければならないのは当然ですが。

 こういった暗黙の了解の先には楽しい旧車道楽の世界が待っているわけで、保証の効く新車の感覚でこの趣味に参入することを周りの先輩は許さないでしょう。それが嫌なら「旧車に乗る資格がない」、、、、、、、、、、、とは申しませんが「別の新しい車を買われることを強くお勧めします」(笑)。AZ−1においてもメーカーの部品供給については今後エスの場合と同じ道をたどることは間違いなく、これからはこうした自覚が必要になって行くのではないかと私は考えます。